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□私が生きる理由
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あれは5年前のこと。
私は当時まだ19歳。
もうすぐ20歳になるんだけど、
別に誕生日なんて好きじゃなかった。
小さい頃から心臓が弱くて
ずっと入退院の繰り返し。
家で誕生日を過ごすなんてなかったし
誕生日パーティーなんてした記憶もない。
みんなが想像する誕生日はきっと
プレゼントをもらって
ろうそくが立った
ケーキをだしてもらって
一日中おめでとうってお祝いされる
そんな素敵な日なんだろうけど
私の誕生日は誰からも
おめでとうなんて
言われることもなく
ただいつもと同じ日。
両親は小さい頃事故で亡くなって
おばあちゃんに育てられた。
そのおばあちゃんは認知症が進んで
私のことも覚えてないしわからない。
お見舞いも来てくれる人はいなくて
私はずっと孤独。
私の病気は治ることはない
今は安定してるけれど
ちょっとでも心臓に負担をかけると
苦しくなって息ができない。
大好きなソフトもできないし
歩くことすら許してもらえない。
ただ心臓の寿命が来るまで
恐怖に耐えながら日々を過ごす。
いっそのこと
このまま天国に行って、、
お母さんとお父さんと暮らしたい。。
、、なんていつも考えちゃう。
『私、、
なんで生かされてるんだろう、、』
「ん〜それはね。
まだしなきゃいけないことが
たくさん残ってるからじゃない?」
『びっくりした、、』
「へへ(笑)
今日から担当になりました
西野七瀬です^^
麻衣ちゃんよろしくなっ^ ^」
彼女の笑顔は眩しかった
いつもキラキラしてたの
『よろしくお願いします、、』
「麻衣ちゃん若いねぇ。
まだ19歳なんてっ
ななおばさんやなぁ」
『先生何歳なんですか?』
「ななは24歳(^ν^)✌」
『若いじゃないですか』
「仲良くなれるように、、
今から麻衣って呼ぶ!」
『え?!』「あかん?」
『いや、、いいですけど、、』
「あぁ、麻衣も七瀬でええよ?」
『七瀬さん、、』
−−−−−
七瀬side
明日から担当を持って欲しい
患者さんがいるって
上の人に言われてカルテ渡されたけど
白石麻衣、、19歳。家族なし。
白石麻衣ちゃんがどんな子なのか
病室を覗きに行った。
看護師さんと話すときも
引きつった笑顔で
弱いところを見せないように
頑張ってるんだろうけど
夜1人で泣いてたりするみたい。
ななはどうにか麻衣ちゃんを心から
笑顔にしてあげたい。
そう強く思った。
次の日麻衣ちゃんに挨拶に行ったけど
生きる理由がわからない。
外を見ながら呟いた麻衣ちゃんを見た時、
私は涙が出そうになった。
−−−−−−−−−−
麻衣side
今日は8月19日。明日は私の誕生日。
20歳になるから友達と
お酒呑みに行って遊びたいのに
叶うわけもなく。
24時になったころ窓の外を見ながら
ぼーっとしてた時、
病室のドアが開く音がした
−−ガラガラガラ−−
「はっぴばーすでーとぅーゆー♩」
笑顔が眩しい彼女は
ろうそくに火をつけたケーキを持って
私の元へ歌いながらやってきた
『、、、、』
「麻衣、おめでとう20歳!!
めでたいねぇ」
『、、、、』
「あ、ごめん!
生クリームの方が良かった?!」
『、、、チョコが好き、、』
「ほんま!?よかったぁ、、^^」
『、、、(´;ω;`)』
「え、あ、泣いてる!?ごめん!」
『違う、、ちがう、、嬉しくて、、
こんなの初めて、、』
「ギュッ 大丈夫。これからはずっと
なながそばにおる。
麻衣は1人じゃないから。」
『ギュッ (´;ω;`)』
「食べよ?ケーキ!美味しいよ!」
『おいしい、、^^』
「あ、やっと笑った!
麻衣はその笑顔が素敵や
いつも愛想笑いやったやろ〜(笑)」
『だって。。』
「でもその笑顔はさ
ななだけに見せてな^^
特別感的な?(笑)」
『七瀬くらいだよ私にこんなに深く
関わろうとしてくれたの。 』
「だって麻衣美人なんやもん。
絶対ななだけのにしてやるっ!!笑」
『なにそれ〜(笑)』
初めて嬉しくて楽しい誕生日を
過ごせたの七瀬のおかげで。
七瀬が担当になってから
ずっと楽しかった。
、、ある日のこと、、
「麻衣〜調子どう〜?」
『咳出るけど大丈夫^^!!』
「おぉ〜よかった(o^^o)」
『七瀬ありがとうねいつも。』
「なによ急に(笑)照れくさっ」
『生きる理由見つけた』
「なになに?」
『七瀬。』
「ん?」
『こうやって七瀬と
笑うために生きる!』
「はは(笑)( ; ; )よかった、、」
『なんで泣くの?!』
「生きる理由見つける事ができて、、
よかった、、これからもずっと
私が側にいるから」
『よろしくお願いします^^』
「あ〜!いい天気やな〜!!!」
『七瀬今日もう終わりでしょ?
帰ってゆっくり寝な?
明日また話そ^ ^』
「ほんま?じゃあ今日は
そうしよっかな^^」
『また明日ね^^』
「麻衣だいすきやで〜おやすみ^^」
七瀬は帰っていった。
七瀬が帰ってから数時間後
咳が止まらなくて吐血して倒れた
もうそろそろ私も寿命だと思った。
七瀬ありがとう。。
そう心に思って重たい瞼を閉じたのに
目覚めるといつもと同じ天井が見えた
『私助かったんだ。。』
−−ガラガラ−−
『七瀬、、?!』
【白石さん。どう?調子は】
『あ、先生。。わからない、、』
【説明、してもいいかな?】
『あ、はい。』
【3日前白石さんが倒れた日ね】
『3日も眠ってたんだ、、』
【次心臓移植の順番ね
白石さんが一番だったんだ
その日西野さん
早く帰る日だったでしょ?
だから僕連絡したんだ。
上の人から電話がきて
次の移植は白石さんが選ばれる。
そう報告がきたよって。そしたら
麻衣が長く生きられるって泣いてた
私から直接伝えたいから
今から病院に向かうって
電話を切ったんだけど、来たのは
笑顔いっぱいの西野さんじゃなくて
意識がなく、全身が
血だらけの西野さんだった。。】
『、、、え、、七瀬は!?
七瀬は無事なんですか!』
【病院に来る途中に
トラックにはねられたらしい
最善を尽くしたんだけど、、
、、助からなかった、、】
『待ってください、、
七瀬、、死んだの?
ねぇ、、死んじゃったの!?!泣』
【すまない、、、白石さん、、
心臓に手を
当ててみてくれないかな、、?】
『泣泣 、、、』
【どう?動いてる?】
『はい。。泣』
【西野さんはずっと
白石さんの心の中にいるよ
白石さんのドナーは西野さんだ。】
『そんなの、、そんなのやだ、、、
七瀬、、泣泣』
【息をひきとる前にこういったんだ
麻衣の可愛い笑顔を
みんなにも見せてあげて?
ずっと側にいるから。
だいすきやでって
最後の力振り絞って
笑顔で息を引き取ったんだ、、泣】
私は数週間ずっと泣き続けた。
七瀬が事故にあった時
握りしめてたものがあると
後日渡されたのは封筒だった。
中を覗くと2人で撮った写真が
たくさん入ってて私の寝顔や横顔、
いつの間に撮ってたの、、
この写真を私に見せて
これからもたくさん撮ろ!って
笑顔で言ってくれるはずだったのに、、
神様は残酷だよ、、
七瀬が私の中にいる、、
生きる理由がまた見つかったよ。泣
七瀬ごめんね。。
そしてありがとう。。泣
5年たった今、
私は七瀬の心臓のおかげで
働くことができてる。
七瀬に出会って目指した
看護師として。


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