緑の夢(短編)
□渡邉グループの苦労人2
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おいおい嘘だろ?
虹花は理佐が好きで、理佐はねるが好きで。
しまいには虹花がねるを刺そうとして庇った理佐を刺しちゃって色々ちょい待って状態。
しかも徳山の死体を担いだりなど…私のポジションおかしくない?
「はぁ…」
『おっ?冬優花じゃん。
ため息なんてついてどーした?』
ため息を吐きながら廊下を歩いていたら隣のクラスの幼馴染の黒子さんが話しかけてきた。
「いや、実はさぁ…」
黒子さんの無邪気な笑顔を見たらどっと癒されつい今までの事を話した。
あ、もちろん徳山の死体の事は省いたけど。
『んーっ。てことは、冬優花ぼっちじゃん。苦労人だなぁ…』
そう言いながら黒子さんは私の頭をポンポンした。
「そんな事したら彼女に怒られるよ」
黒子さんの彼女は私と同じクラスでいつも水色のヘッドホンをしているあいつだ。
気が付いたら2人は付き合っていた。
『彼女居ても冬優花の事大事だよ。
だからキツイんなら甘えてきなよ。
居場所ならココ空いてますよ?』
と、テレビで見たことあるあの芸人さんみたいなセリフを言いながら手を広げてまたあの無邪気な笑顔でニコッと笑う。
その無邪気な笑顔に私は弱い。
悪ぶってるのも元々は黒子さんがヤンキーちっくな感じの人が好きだと前にボソッと言っていたのを間に受けたからだ。
「じゃあ…さ。昔みたいにたまにはふーちゃんって呼んでよ…」
と、呟いた。
すると、私より身長が少し高い黒子さんはちょっとしゃがんで
『ふーちゃん』
と優しく呼んだ。
我慢出来ずギュッと黒子さんに抱き着いた。
もう…ほんと好き。
『ふーちゃん』
抱き着いた私を受け止め小さく左右に揺れながら頭をポンポンしながらまた繰り返し名前を呼んでくれたからまた明日から理佐達と上手くやっていけるように頑張ろうって思った。