星のカービィ二次創作

□一話
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メタナイトがその場で袋を開く。
中から出てきたのは流れ星をイメージさせるような、プラチナに輝く美しい小さなワッペン。
メタナイトの掌を覗き入んだカービィが思わず わぁ っと驚きの声を上げる。

「すっごくきれいな星だね・・・!見とれちゃうよ・・・」

そう感想を述べるカービィに続きデデデ大王がボソッと口を開く。

「・・・売ったら高そうだな・・・」

それを聞いたメタナイトが手早くワッペンを袋にしまい懐へと隠し、ジロッとデデデ大王を睨む。

「大王・・・もしそれを実行するつもりなら・・・」
「じょ、冗談!冗談だっての!んなこえぇ顔すんなよ・・・」
「声色が本気だったぞ」
「・・・・・ウッス。」

殺気を纏わせ宝剣ギャラクシアに手を掛けるメタナイトに怖じ気づくデデデ大王と、そんなデデデ大王を見て爆笑するカービィとメタナイトの後ろでやれやれとその場を見守るバル艦長。
その様子を静かに眺めていたフレイドナイトが笑いを噛み殺し損ねた様な ん"ぐっ と言うおかしな声を上げた。

「かの"冷徹"と恐れられた弧高の剣士が随分と丸くなられましたね」

面白おかしいと言った感じに声を震わせながらフレイドナイトはそう言った。

「・・・あながち、ほだされたと言っても間違い無いな。」

そう呟くメタナイトの声は柔らかく、フレイドナイトが言うような"冷徹"さは微塵も感じられない。

カービィは思う。
確かにメタナイトは強いし、戦っているときに向けられる敵意はカービィでも身震いを起こしてしまい反応が遅れる時がある。
戦っているときだけではない。一緒に冒険している時まれに感じる彼の刺すような気配は、味方であるとわかっていても死を覚悟してしまいそうな恐ろしさをも感じる時がある。
だけどそれは警戒している気配だと、カービィは知っている。

「(フレイドの言う"丸くなった"って、もしかしなくても昔のメタと比べて、だよね・・・。
ならメタは、一日中あんな気配を纏わせている時があったって事・・・?)」

それを考えてカービィはなんだか悲しくて不安になった。
その頃のメタナイトには友達はいたんだろうか、笑っていたんだろうか。
カービィは未だデデデ大王と口論しているメタナイトに後ろから飛び付くようにしがみついた。

「メタナイトッ!!」
「おわっ!!?」
「ぬおっ!!」

油断していたのかカービィに押された衝撃でそのままデデデ大王に突っ込むメタナイト。咄嗟の事で受け止めきれなかったデデデ大王もろとも巻き込み三人は廊下で将棋倒しになる。

「カービィ!!なにをする!!」
「キューに突っ込んでくるなバカモン!!」

倒れたまま怒る二人には応えず、メタナイトのマントに顔を伏せたままのカービィ。
デデデ大王が不振に思い、おいどうした と聞くと、カービィが不意に ねえ と発した。

「メタはさ、今は笑ってる?幸せだなって思ってる?」
「カービィ?いったい何を・・・」
「だって!!メタは優しいのに!れーてつだなんて信じられないんだもん!!!」
「ッ・・・・・・・・・、」

仮面の奥の金色の瞳が柔く揺らいだのをカービィは見逃さない。

「それにその仮面はなんのためにつけてるの!?僕いつも思うけどさぁ!そんなのつけてるせいでメタが何思ってるか全然わかんないときがあるのふこーへーだと思うんだよね!!!
君が一人で苦しんでたって悩んでたって僕達にはわからないんだよ!?助けられるかもしれないのに、なのに君が・・・」
「カービィ」

爆発する不満を息継ぎをする間もなくメタナイトに向かって叫び続けていたカービィの言葉を遮ったのは、以外にもバル艦長であった。

「それ以上は、やめてもらおう。
誰の心にも闇はある。ワシだってそうだ・・・お前もそうだろう。」
「だって・・・!」
「 こ れ い じ ょ う っ !!!」
「ッ!」
「・・・・・・その方を、責めるな。ワシらでも癒せない様な傷を、
"貴様"が無闇に広げるなッ!!!」

右手で帽子のつばを下げて目元を隠し、普段のバル艦長とは思えない様な剣幕で彼はそうカービィに叫んだ。

「バル艦長、いいのだ。いつまでも引きずって隠す私も悪い・・・。」
「ですが・・・ッ!」
「だから、大丈夫。ありがとう。」

メタナイトは仮面の下で優しく微笑む。
バル艦長はまだ何か言おうとしたが、その笑みを見てグッと口を紡ぐ。

その笑みの意味は、メタナイツ以外の者は知るよしもない。
無論、フレイドナイトも、その意味は愚か、メタナイトの闇など全く持って知らない。

ただ一人、デデデ大王を除いて。
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