ユメモノガタリ
□土生瑞穂×小池美波
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土生side
『それでは、どうぞ!』
〜♪
MCさんのフリと共に流れ出したのは美波のウェディングドレス姿。今日の企画はW欅坂46披露宴(仮)Wというもので、メンバー数人がウェディングドレスを見に纏いバージンロードを歩く。そして、カメラに向かって愛のあるセリフを言う、という内容だった。
-----数日前
「はぶちゃ〜ん、、」
「どうした?」
「あんな、今度の収録のことなんやけど、いいセリフが思いつかんくて」
「そっかー、美波そーゆーの苦手?」
「ニガテって言うか…、なんやろ、カメラに向かってって言われてもどんな顔したらいいか分からん」
「表情かー」
うん、、と言いながら俯く美波。
私はふとあることを思いついた。
「美波」
「ん?」
「こういうのはどう?」
耳打ちすると顔を真っ赤にさせる美波。
もしかしたら効果あるかも。
「ちょっと恥ずかしいけどやってみる」
「うん、頑張って」
「上手く出来たら褒めてな?」
「わかってる」
頭を撫で美波を送り出す。
-----収録日
『これからも…ちゃんと見ててな?』
<キャー!!!
<みなみかわいー!!!
収録は大成功に終わったみたいだ。
---パタパタ…
「はぶちゃ〜ん!!」
「美波!」
走ってきた勢いそのままに私に抱きついてくる美波。
そして満面の笑みを浮かべて私の顔を見る。
「はぶちゃんのおかげ!上手くいった〜」
「よかったよかった。上手だったよ」
「うわ〜ん、ありがとう〜」
<「みなみ〜、おつかれ〜!」
<「みぃちゃん可愛かったよー!」
メンバーと共に歩いて楽屋へと戻る。
その道中あるメンバーが話しかけてきた。
「はぶちゃーん。みぃちゃんになんて言ったのー?」
さっきの会話を聞いていたのか、守屋が訪ねる。
「ん?私は何もしてないよ?」
「そんなはずはないぞ!みぃちゃんの顔見た?あんなに真っ赤になっちゃって。これは土生ちゃんからの言葉のせいだろ〜」
と言うので正直に答えた。
「んー。美波に相談されたの。Wカメラに向かってセリフ言うって言われても表情とか難しいWって。だから、カメラの向こうに私がいるって思ってみてって伝えた」
「それか!」
守屋は大きく頷き、妙に納得したかのような表情を見せた。
私にはなぜそこで納得するのかがよく分からなかったが、守谷の謎が解けたなら良かったと思う。