きゅんって音が聞こえない@

□2.3分間の憂鬱
1ページ/3ページ





「……なにしてんだよ」


「ああ檜山くんいい所に」



昼休み、隣の席に座る陽が何やらステンレスボトル片手にソワソワとしている。


聞けば今日の昼飯に新発売のカップ麺を買ってきたとか。


花の女子高生がなんつうもんを1人で食おうとしてんだって思ったけど、あえて言わなかった所は俺のささやかな優しさ。



「つうかお湯冷めてね?そんなんで食えるの?」


「ふっふー甘いね檜山くん、これは真空二重構造だから寒い日でも朝から晩まであったかさんをキープしてくれるんだよ」


「真空二重構造すげえ信頼してるこの人」



得意げに語る陽は、トポトポとカップ麺にお湯を注ぐ。


途端にブワッと立ち込めた湯気に、ゲッホゲッホとおっさんみたいに咳き込むアイツ(アホか)


女子のカケラも微塵も感じない陽を尻目に、俺は購買で買ってきたパンの袋を開けた。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ