長編 カカシ

□番外編 ヤマトの独り言
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なつが暗部に入隊してきたのは二十三歳の時だった。

小柄で大人しい子だ、一体いくつなんだ?初めはそんな印象だった。常に挙動不審で人見知り。動きが際立って俊敏でもなければ、これと言うオリジナルの術も持ち合わせていない。本当に火影が直々に推薦してきたのか、誰かと間違っているんじゃないのかと疑ったくらいだ。

しかし共に任務を遂行するうちに彼女が凄い忍なのだと言うことを僕は思い知らされることになる。

敵の密会の会話を何かに書き留めるでもなく、一から十まで覚えるのは朝飯前。暗号解読も為になるからと言って、勉強しだしたら覚えるのは一瞬だった。
暗部の任務では敵との殺伐とした戦いも多い。大きな怪我をする者も頻繁にいた。それを目の当たりにしたなつはものすごいショックを受け、すぐさま医療忍術に目をつけ、瞬く間に自分のものにした。

しかし彼女は天才ではない。人の十倍は努力していた。寝る間も惜しんで、いつも真剣で必死だった。

どこかノロノロと危なっかしかった動きも、僕との修行でコツを掴んできたのか、次第に誰も予想出来ない様な俊敏な動きが出来る様になった。これが代々忍の家系じゃないと言うんだから驚きだ。

なつは少し僕に慣れてきた頃、ポツポツと自分の生い立ちについて話し始めた。両親は死んで天涯孤独の身だということ。里の中心に住めばいいのに、思い出の詰まっただだっ広い実家を離れられないこと。蛙が世界で一番大嫌いなこと。実は僕より二つも年上だということ。
そして、憧れの忍は"はたけカカシ"だということ。
カカシ先輩は君と入れ替わりで暗部を抜けたんだよと告げると、それはそれはガッカリして。いつか会えるといいねなんて話していたっけな。
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