長編 カカシ
□すれ違い
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最近なつに会っていない。
オレはもみじとの任務に加え、テンゾウやナルト達と組むことが多く、彼女と一緒になる事は減っていた。
なつは待機所に顔を出すことも無く、たまに道で見掛けて声を掛けようと急いで駆け寄ると、あの操が一緒にいた。
二人でケラケラ笑っちゃって…なーんか、楽しそうだねぇ…。
「ねぇカカシ先生!私一つ聞きたいことがあるんですけど。」
ベンチに腰掛けて本を読んでいると、サクラといのが目をキラキラさせてオレに声を掛けてきた。
「んー、なぁに?」
「なつさんと操さんって、もしかして恋人同士なんですか?!」
「…えー…違うと思うけど…。」
今オレの前で絶対してはいけない話題を出してきてるよお前ら。自分の立場上無碍に扱うことも出来ず、とりあえず歯切れの悪い返事をする。
「あの二人絶対怪しいですよね!最近ずーっと一緒にいるし、前に焼き肉Qで会った時なんて、操さん、なつさんのほっぺた撫で撫でしてたしっ!」
「な!?撫で撫で!?」
「アタシも見たっ!なつさん照れちゃって、もー可愛くてっ!三十手前であんなに可愛い顔出来るのはなつさんだけだよね!」
わかるーっ!と二人は無邪気に向かい合わせになり、手を組んで喜んでいる。
「操さんカッコいいわよね!テンテンなんか彼は木ノ葉にはいないタイプだーなんて言ってハマっちゃって。」
「…ふーん」
…操は元々木ノ葉の人間なんだけど。テンテンの奴いい加減な事言っちゃって…もう年頃の女の子なんて、何かしらカッコいい男にありとあらゆる根拠の無いオプション勝手に付けて盛り上がっちゃうんだから。
「ハイハイ、恋愛話もいいけど君達ちゃんと修行もしてね。ランクの高い任務も次々にやって来るんだから。」
「はぁーい。」
ねぇ、カカシ先生なんか怒ってない?自分に相手がいないから嫉妬してるんでしょ、嫉妬…なんて。コソコソ話しながら二人が遠ざかっていく。
おーい、お前ら聞こえてるぞー…。
この間ゲンマとテンゾウと一緒に飲みに行った時なんか、忍としての才能はすごいのにそっち方面はサッパリ疎いんですね、なんて散々笑われて。まぁ、実際そうなんだけど。
ゲンマに、女なんて引くときは早い、なつなんか特にもう良い年だし、イイ男が現れたらコロッと行っちゃいますからね、とか言われて。
正直焦ってる…こんなキャラだったかな、オレ。
「あー、何か頭痛い…慣れないこと考えすぎたかな。今日は任務もないし、ウチ帰って寝るか。」
誰かに会ってこれ以上痛いところつつかれたくないしね。
重たくなる頭を抱えながら、オレは家路へと急いだ。