長編さんです
□欲望
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【鈴本side】
キンコーンカーンコーンの予鈴がなって平手とゆいぽんが教室にもどり私たち3人も自席にもどる。
…ひ、平手はだれで妄想していたんだろう。ずーっと好きだったって言ってくれたってことは私…かな?でも間違えてたら恥ずかしいな。…私だったらいいなーなーんて。
鈴本「もぅわけわかんないよぉ」
帰りに平手に聞けるかなぁ。自分からいうの恥ずかしくないかな。んんー。それで私じゃなかったらすんごいショックだし誰なのか気になって仕方がないと思う。
先生「はいじゃー鈴本。ここ答えてみぃ」
鈴本「…へっ!?あーえっとそこはー…」
平手とのことを考えすぎていて、授業なんかに集中できていなかった私は、先生のことなんて気にしてさえいなかった。やっばい、なんだこれ、数学とかさっぱりわからん。
志田「…○○だよ。もんちゃん笑」
鈴本「…○○ですっ」
先生「ほぅ。正解だ。座っていいぞ。」
よかったー!。愛佳が小さい声で喋ってくれたおかげで、答えられないという恥から逃れることが出来た。
♢ ♢ ♢
志田「なーに考えてたのかなー鈴本さん」
渡邉「授業中考え事してたね。もんちゃんの顔みたら分かるよ」
授業も終わり10分休憩の時間。すこしニヤニヤした2人が私の席にきた。
ぐっ。2人にはお見通しだったのか。そんなに分かりやすい顔してるかなぁ。
鈴本「だ、だって」
志田「だって?平手がだれで妄想してたか気になるって?笑」
こういうとき愛佳の勘の良さを恨む。加えて、そのニヤニヤした顔で指摘されるのもまたムカつく。
渡邉「もんちゃんは平手大好きなんだね」
大好きにきまってるじゃんかさー。平手には絶対言えないけど。片思い長いんだからねっ!
でも私が自信がもてない理由が1つだけある。平手とはぐもしたし、き、キスもしたけど…
鈴本「だって…平手まだ私の血吸ってないんだよ?」
志田「血?あぁ吸血のこと?…すってないってなに」
鈴本「…この前の理佐みたいに平手たちって血を定期的に吸わないと暴走したり倒れちゃったりするんでしょ?…なのに平手私のこと大好きとか言ってくれるけど一向に血を吸おうとしないんだよ」
渡邉「まぁ毎日吸いたいもんじゃないし、まだその時じゃないだけじゃないのかな?」
鈴本「…でももう付き合って1ヶ月ぐらいはたつよ?…その大丈夫なの?本当に平手は足りてるの?」
志田「うーん。それにかぎっては私たちもわからないからなぁ。目安的にそろそろ欲望が露骨に現れるころだと思うんだけど。」
渡邉「てちが暴走なんてしたら私たちとめれるかなぁ笑」
志田「2人でも難しいかもねぇ。なんせ2等さんですから」
鈴本「…2等ってなに?」
はじめて聞く言葉につっかかる。2等?それが平手が血を吸わないことに関係あるの?
渡邉「ん?もんちゃんてちから聞いてないの?」
鈴本「うん。2等ってなに?平手のこと?」
私の顔みた愛佳が深いため息をつく。そして呆れた顔で私をみた。
志田「…あのやろう。なんもいってじゃねーか」
鈴本「え?」
渡邉「うーん。私からいってもいいけど、これはてち本人からきいたほうが納得がいくと思うよ。」
志田「今日一緒に帰るんでしょ?」
鈴本「うん。…なんて聞けばいいの?」
志田「ずばっといっちゃったら?あのバカを説教しちゃって。お泊まり会のことよりもまず吸血しないことと2等のきを聞いてみて」
渡邉「…まぁ説教とまではいかなくてもちょっとは怒ったら?けっこうだいじなことだから」
ちょっと怒る?だいじなこと?平手はまだ私にいってなかったことがあったってこと?指切りした日で平手を理解した気でいた私がバカみたいだ。
鈴本「…わかった。聞いてみる」
♢ ♢ ♢
【平手side】
土生「あれ、てち調子悪いね最近」
平手「あ、はいなんか最近ダメみたいです」
土生「まぁてちぐらいのプレイヤーにはよくあることだよ」
くっそ。全然シュートが決まらない。おまけに土生先輩に言われるほど能力が落ちてるなんて。いつもなら決めるスリーポイントシュートだってリングに跳ね返されて転がる。何回うってもただ自分が脱力を感じるだけだった。
今は放課後の部活の時間。今日は美愉と帰る約束をしている。
部活でバスケをしているがやっぱり体力が衰えると監督にバレたりキャプテンの土生先輩に言われたり…。疲れがプレーに現れやすいのがバスケですからね。
土生「大会も近いんだから無理はしちゃだめだからね。エース」
平手「エースだなんてそんな…」
土生「プレッシャーをかけるつもりはないけど、今年の目標は都大会でベスト3に入ること。私たちの高校は粒ぞろいだけどてちもその1人ってこと忘れないでね」
平手「わかってますよー。」
土生「うふふ。ならいいよ」
土生先輩はそういうと私の練習を邪魔しないために別のバスケットゴールにシュートし始めた。土生先輩は人間なのに私よりもテクニックがあって頭がよくキレる。フィールドがよく見えるって感じで経験がものをいうバスケでは土生先輩みたいな人がいると相手にとって試合はやりづらいのだ。
平手「…はぁ」
…私がこんなに調子がでない理由なんて1つしかない。最近血を飲んでないから。それだけ。だってほかの人の血はどうも苦手で、まっずって思っちゃうんだもん。小さい頃に美愉の擦り傷からでた血をぺろっと舐めた時の味が忘れられないよー…。
そりゃパートナーだもん。美愉の血を吸うことにためらいがあるわけじゃない。あいにく、私は理佐ほど優しくできないし。好きな人にはこうガッといきたくなるじゃん。せっかく自分のって胸はれるのに…手放してたまるか。
美愉の血を飲みたい。でもそんな付き合って1ヶ月ぐらいで血を飲んだらまるで体目的で付き合ってるって思われないだろうか。そんな不安がよぎって会う度会う度自分の欲望に蓋をしたんだ。
土生「よしっ!今日の練習は終了だよー!みんな帰る準備して早くかえってー」
「「「「はーい」」」」
平手「…急ご」
校門でこの冬だ寒い中美愉が待ってる。私はすぐに部室に戻って着替え始めた。
【鈴本side】
鈴本「今日うちによっていって平手」
平手「え、うん。わかったー」
平手との約束していた帰り道。私は絶対謎を解くべく逃げられないように自分の家に平手を呼んだ。
ママ「あら友梨奈ちゃんじゃなーい!はいってはいってー」
小さい頃からお互いの家を行き来している私たちは両親とも仲が良くてママは平手のことが大好きだから急遽平手がくることになっても対応できる。
平手「お久しぶりです失礼しまーす」
ペコって頭を下げていつものキャロてちを炸裂させる。クシャって笑う平手が大好きなママはいつも平手を愛でる。
ママ「あ、友梨奈ちゃん。うちでご飯でも食べていかない?連絡しとくから」
平手「え、いいんですか!?やったー!」
「美愉のママ料理おいしいんだよなー」って笑顔でママと話す平手は幼い頃の平手と重なっておもわずきゅんってする。
鈴本「んじゃあママご飯の時呼んでね」
ママ「はいはい。それまで美愉の部屋にいるのね?」
鈴本「うん。」
それではとママにまた一礼した平手の手をひいて、私の部屋に誘導する。ガチャっとドアを開けてベッドに座らせて会話を交わす。
平手「ふぅー。久しぶりに入ったなーなんか」
鈴本「うん。最近は平手ん家ばっかりだったもんね」
平手「すっごい美愉の匂いする。」
鈴本「へ!?や、やめてよ」
平手「あ、今美愉すっごい顔した笑」
帰り道の延長戦上のような会話でお互いに笑みが溢れる。この昔と変わらない会話を破ったのは意外にも平手からだった。
平手「ねぇ美愉。今日は言いたいことあって呼んだんでしょ?なーに」
鈴本「え!?あー…うーん」
やっぱり平手を前にすると口から言葉が出てこないというか、つまっちゃうというか…。
平手「なーに!教えろー!笑」
教えろー!と私にハグをして左右に揺さぶる平手。愛佳と理佐が言った通り今日は平手をギャフンと言わせるん だ。
鈴本「平手は…吸わなくていいの?」
平手「え?吸う?」
鈴本「そ、その血を…吸わないの?」
こんな血を吸うだとか吸わないだとか。こんなことを口にするだけで顔はあっつくなるし平手の顔みれないし。意外と私ってポンコツなのかなーって。
【平手side】
鈴本「平手は…吸わなくていいの?」
え?え?え?えー?!
み、美愉が血を吸うのか吸わないのだとか言ってるけど、やばい頭フリーズしてきた。いや、吸いたいよ吸いたいけど…1拍おくか…。
平手「ん?」
鈴本「…この前の理佐みたいに平手たちって血を定期的に吸わないと暴走したり倒れちゃったりするんでしょ?もう付き合って1ヶ月ぐらいはたつよ?…その大丈夫なの?本当に平手は足りてるの?」
え、なんかそんなこといわれるとか思ってなくてすんごいうれしい。なんかやばいね。嬉しいし美愉がそんなこと考えてたとか思うと愛おしくてたまらんです。
平手「…正直いって足りてはない。けどなんか美愉がそんなに私のこと気遣ってくれてるって思うと嬉しすぎるんだけど。はぁー美愉ぅー好きぃ!」
私はそんな思いを込めて美愉を力いっぱい抱きしめた。
鈴本「そ、それはいいから!んでどうなの?」
どうなのってそりゃ吸いたいにきまってるじゃん。あー、この流れはしょうじきに言わないと美愉が凹んじゃうパターンでは?ここは心を鬼にして…
平手「…美愉の吸いたいです。」
鈴本「ん。わかった。ちょっと待ってね」
私の目をみて、私の言葉を聞いた美愉は制服のシャツのボタンをとりはじめた
平手「ちょっ美愉?」
鈴本「今脱ぐから。」
本当に自分決めたらまっしぐらなんだから。でもまぁすべてを受け入れると言った君がすきな私は吸わせてくれるという君の愛に抗うことなんてできそうにないけど。
鈴本「ん。ここ…でしょ?」
そういってボタンを外したシャツの中から見える美愉の首筋。うわぁーやっば。えっろ。あ、やべいっちゃった。
平手「…はいそこです」
私は目のやり場に困って両手で顔を覆い、美愉の言葉にただ従った。
鈴本「んじゃーはい。」
平手「だだめだよ。痛いよ?」
鈴本「ん。」
痛いよっていってもはいどうぞってベッドに寝転ぶ美愉。ほんとに自分がどんな格好してるかわかってんの?そこまでいうなら私も我慢しないよ?
平手「…痛いっていってもやめないからね」
そう宣言した私は美愉の顔を伺いながらそっとを彼女の首筋に牙を立てるのだった。
end