長編さんです

□救い出す
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【守屋side】







客「どこに運ぶってのぉー?」


守屋「へ…!?」




だ、誰かいた!?部屋の入口付近に居てよく見えない。でも声からして知り合いではないことがわかる。


守屋「だ…だれ?」


客「…あらあなたもまなきくんのファン?」


守屋「…まなき?ファン?」


まなきってだれ?ファンってどういうこと?


客「まぁそんなことどうでもいいわ。てか、まなきくんをどこか連れていこうとしないで。でてってはやく」


守屋「でっでも血流れてますし、早く助けを呼ばないと…」


客「助け?いるわけないでしょ?笑。いいから早くでてって」




だんだん誰か知らない人の声が低くなっていく。お、怒ってるのかな…。でもなんだかこの人変だ。すごく…こわい。また、手が震えてきた。



守屋「て…手伝ってください。早く外にださないと愛佳死んじゃう…」


この人に対する嫌悪と恐怖が入り交じってだんだん自分の声が震えてくる。愛佳、膝のお皿の部分からも血が出てるし、手錠で手が抑えられて赤くなっている。


客「あははっ!死んじゃうだって?大丈夫大丈夫死なないから。私が一生看病してやるっての笑。いいから邪魔者のあんたははやくどっかいって」


なんだろ…この人少し悲しそう?でもなんだかここから逃げ出したらもう愛佳と二度と会えない気がする…。だったら私は意地でも愛佳の隣をどかない。


守屋「どきません。絶対」


客「は?なにあんたもぶたれたいの?」


守屋「ひっ………」



相手はカバンから血のついたタブレット端末を取り出した。タブレットの角に血がテラテラと付着して、不敵にも輝いて見える。


客「いいね。その顔。あなた顔はいいもの。…ふふっまなきくんと一緒に飼ってあげてもいいわね」


守屋「な、なにいって…」


客「ま、そこどかないあんたが悪いから。んじゃ」



その人は両手に持ったタブレットをふりあげ、一気に振り下ろす。



ガンッッ……


















ポタポタッッ



音がなると同時に目を塞いだ。目を開けるとポタッて落ちる血が見えた。その光景が余りにも残酷で声も出ない。



守屋「………っ。」


でもなんでだろ。私全然痛くない。なのに血…?私はふいに上を見上げた。




守屋「…まなかっ!?」



そこには擦りむいた膝のお皿の部分で立ち膝する愛佳がいた。さっきまで目もあけなかったのに…。でも


守屋「愛佳っ血が…」


頭の血が流れていた部分をまた打たれて止まりかけていた血がまだ流れ出す。ポタポタッと落ちた血は愛佳のものだった。


まなき「……っ。ほんとよーしゃねーなー」



横を向いてペッと血を口からだす愛佳。一瞬の出来事に目を疑うと同時に頭がフリーズして、愛佳の発言で我に返った。



客「あらーまなきくんおきたのね。どう?私に飼われる気になった?」


まなき「なるわけねーだろ。てか、第三者巻き込まないでくれる?」


客「そんなに殴られてまだそんな口が叩けるのね。ほんっとますます好きになっちゃうわ」


まなき「はっ。バカじゃねーの。早くとけよこの手錠。」


客「だーめ。手錠は彼女が誰か教えてくれたら外してあげるって言ったでしょ?。あ、外には出さないからねー。」



彼女?それって私の事じゃ…?




客「てか、その子知り合い?どけっていってもどかないんだけど」


守屋「あ、あの…。この人の彼女って……わた「知らねーなぁこんな奴」


守屋「…え?」


彼女って言ったから名乗ればその手錠外せるんでしょ?早く外に行こうよ。なんでわたしの存在を隠すのさ。私が答えようとすると愛佳は大声で『私』を知らない人だと叫んだ。

客「あーそ。よかった。もし彼女だったら頭かち割ってたわよ。」


まなき「俺の彼女はなぁ。こんな危険な場所こねーよ。呼ぶわけねーだろばーか」


客「えぇかっこいい。惚れちゃう。でもその女の子邪魔だね。今度は絶対殴ったげるからこっちおいで」


まなき「おい待てよ!その子は第三者だろーが。巻き込んでんじゃねーよ。お前が何しようと俺はお前と付き合わねーよ。本命がいんだ。頼む。その子には手を出さないでくれ…」


客「んじゃあわかった。交換条件にしよう。私はこの子を外に出してあげるから、まなきくんの夢教えて」


まなき「そ…それは」


客「言えないならこの子…うふふ」



この人は私を本当に殺しに来ている。私の服の首元を掴んで拳を握っている。タブレットも横に置いてあるし…こわいよぉ…助けてよ…まなか…



平手「おい…なにしてんだよ」


客「へ!?だれ!?」


渡邉「まなきの友達だよ。」


守屋「りさぁ…てちも…」



てちと理佐はヴァンパイアの姿で来てくれた。愛佳のそばにはゆいぽんともんちゃんがいるし…。もう心配はないはず



平手「手錠の鍵は?どこ」


客「言うわけないでしょっ?てかあんたら…人?」


渡邉「それより…かぎ」


客「人じゃないんでしょ!バケモノ!」


平手「うるせーなほんと…」



鈴本「2人はバケモノなんかじゃない!」


愛佳を見ていたもんちゃんが走って2人よりも前に出る。たぶん2人がバケモノと呼ばれたことが相当癪だったのだろう。人前できれたりしない彼女はが怒るなんてそうとうだ。


平手「美愉…大丈夫だから」


鈴本「だ、だって…平手」


渡邉「早くださないと痛い目合うよ?」


客「はっ。はったりでしょ。バケモノもかえれー」


平手「……」


守屋「てちっ!」



てちが力いっぱい彼女をなぐった。彼女は気を失って膝から崩れた。



渡邉「…茜。大丈夫?怪我ない?」


守屋「りさぁ…ふぇ…」


渡邉「うんうん。怖かったね。」



私はやっと緊張から解放されて涙腺が崩壊した。理佐の温もりに安心して涙が止まらない。


守屋「私は大丈夫だけど…愛佳が」


志田「へへっ。私はだいじょーぶだよぉ。平手かっくいぃ…(ドサッ)」


小林「愛佳っ!」


渡邉「…由依。愛佳の頭の血をハンカチかなんかで抑えといて。てち、その子の記憶全部消しといて。」


平手「その前に理佐。もう1回なぐってもいい?」


渡邉「だめ。死んじゃう」


平手「…理佐がいうならやめるよ」


渡邉「茜立てる?場所変えなきゃ。愛佳を手当てしないと。」






























♢ ♢ ♢






愛佳の手当てのためにも駅から近い私の家にみんなをまねいた。ひとまず愛佳の手当てをして私のベットに寝かせる。みんなをわたしの部屋にいれて、一緒に探してくれたお礼をいった。



平手「茜の家やっぱ広いね」


小林「うん、お父さんダンディでかっこいいし」


鈴本「お茶おいしいし」


守屋「もんちゃんそれはありがとう笑」


渡邉「しっかしこのバカ…煮るか焼くか」


平手「理佐落ち着け笑」


渡邉「だって茜のベットで寝てニヤニヤしてるよ?人のこと考えろや」


小林「理佐、落ち着いて」


守屋「皆、お母さんが泊まっていきなさいって言ってるから泊まっていかない?」


鈴本「ママに電話してみる…」


小林「私は大丈夫だと思うけどお母さんにLINEしてみる」


平手・理佐「よろこんで泊まらせていただきます」



もんちゃんとゆいぽんが部屋を出て、廊下で連絡をとっている。笑顔で帰ってきた2人をみて私は久しぶりにみんなで泊まれると思い、笑みが零れた。



守屋「よかったー。まぁゆっくりしていってね。」


平手「…茜。怒んないの?愛佳に」


小林「てち唐突だね」


この流れでかるーく聞いてきた平手。出したお茶をくるくるまわしながら純粋に聞いている。


守屋「…まだなんで愛佳があんなところにいたのか、どうしてこうなったかを聞いてない以上愛佳を怒ることはできない。」


平手「ふーん。大人だね茜は」


渡邉「私は今にも手をだしそうだよ」


小林「でもなんでそんなことしたんだろ。2人はそんなにお金に困ってるの?」


渡邉「いや、困ってはないんだよ。ただ貯金してるだけ」


平手「ホストクラブに勤めるぐらいなら地道にためたほーがよかったんじゃないの?」


渡邉「それは…私も知らなかった。ごめん」


志田「……まっぶぅ」


鈴本「まなかっ!」


まなかが起きた。たったそれだけのことなのに涙がでて前が見づらいよ…。


志田「みんな…ごめん」


渡邉「…私はいいよ。まず茜に謝んなね」


志田「茜…ごめん」






【渡邉side】





渡邉「私はいいよ。まず茜に謝んなね」


志田「茜…ごめん」



やっと愛佳がおきた。今日1日本当に生きた心地がしなかったよ。ま、私たちは流血で死ぬことはないけど、それなりにヒヤヒヤする1日だった。


平手「んでなにがあったの?」





愛佳は饒舌に昨日のことを話し始めた。帰っていたら頭を殴られて気づいたらあの部屋にいたこと。守屋のことを話さないと手錠を外さないこと。話したら守屋が殺されてたかもしれないこと。


志田「だから私は絶対茜のことは話したくなかった。」


平手「まぁ気持ちはわからなくないけど」


渡邉「なんで鬼化しなかった?あとで記憶を消せばいいことでしょ?」


志田「あの女の子に傷をつけたくなかったの。」


平手「…お客様だから?」


渡邉「だからって…。茜があと少しで怪我するとこだったんだよ?」


志田「…ごめん」


愛佳は愛佳でいろいろ辛かったんだなって思う。茜を守りたい一心でできた傷はそんな愛佳の勲章であり、どんなときも相手の女の子の前では『まなき』であり続けた。そんな愛佳を誰も責めることなんてできなくて…。いつもどんなときもうるさい愛佳があまりにも静かでみんな調子が狂いそうだ。沈黙が続いて平手ははっとなにかに気づいたようだった。


平手「あ…私たち買い物行ってくるよ」


平手がみんなに目配せしてここにいる全員に愛佳と茜だけの2人にするようにする。


守屋「え、ちょっみんな」


渡邉「ごゆっくり〜」



ばたん…







(歯切れが悪いですが、長すぎると読者の方に迷惑をかけかねないので一旦ここで切ります)







つづく


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