欅坂

□いっつそうくーる
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【小林side】








小林「理佐ー!次お風呂いいよー」


渡邉「はーい!」




いいお風呂だったぁ〜。ライブがツアーであるとやっぱり連日だから疲れちゃう。ファンの方々と一体になれて歌も歌えて楽しいけどホテルに帰ってきてふと椅子に座ると体に凄い負荷がかかってて…。
今日は恋人の理佐と相部屋。メンバーのみんな私たちのことを知ってるからたぶん気を使われてるのか最近理佐とばっかり。いや、いいんだけどさ毎回部屋に戻る時の愛佳のにやけ顔ったらありゃしないよ笑。



渡邉「んじゃあ行ってくるね〜」



バスタオルを持ってお風呂場へ向かう理佐。



出会った頃から変わらない、顔をクシャッとつぶした笑顔の奥に仕事の疲れを感じて今日の夜も無いんだなぁって思う。それなりに察せるぐらいには理佐と共にしてきた。
でも一緒に過ごす時間が長くなればなるほど恋人として触れ合う時間が少なくなったことは明らかでやっぱりそれなりにむなしいし、寂しい。
される事がないとは言わない。してくれる時は付き合いたてのときの愛情と変わらない深い愛情をくれる。
でもやっぱり私は付き合いたての初々しさのドキドキを取り戻してみたいし、初めてシたときの熱量で、頻度で、シても全然構わないんだよなぁって。





……なんか私が欲求不満みたいじゃん。






でも私は私で甘えるのなんてした事ないし、どう切り出していいのかわからないし、そういう扉はいつも理佐が、開けてくれた。かといってストレートに誘うだなんて絶対に無理。




でも今日はせっかく相部屋なんだし、今日は彼女にそれなりにきっかけをつくってみよう。そう思った。



結成当時に姉に言われた自慢の美脚がさらされるようなショートパンツをはき、「外にでも行くのか」と言われるほどに綺麗に髪を乾かした。
洗面台の鏡に映る自分をみてむなしくなる。恋人のためにこんなことしかできないのか…不器用すぎる。



でも、でも。すこしでもいいから理佐が意識してくれたならそれでいい。





渡邉「ん、由依。今日ドライヤー長いね。」


小林「え、うん。明日もライブだからちゃんと乾かそうと思って」


渡邉「そっかそっか。…やっぱり由依の脚きれいだね。」




控えめに目をチラチラ私の脚のほうにむける理佐。まさか言葉にして私に伝えてくれるとは思わなかった。意外と私は理佐を知らないのかもしれないと思ってしまった。



渡邉「明日もライブだぁ〜。今日はもう寝よ?明日も早いからね」


小林「え、うん。寝よ寝よ」





…理佐、普通に寝る気なんだな。
やっぱりつかれてるよね。







♢ ♢ ♢






渡邉「由依。こっちこっち」



理佐は手招きしてベットに座っていた。私は化粧水もろもろを顔や体に塗り本格的に寝る準備をして理佐のところへむかった。


渡邉「んー!今日もお疲れ様だー由依ー」


小林「理佐もお疲れ様。」



微笑みあって向かい合って、そして両手を恋人繋ぎをして今日のライブを振り返りながら盛り上がったところを思い出しては理佐の指が私の指の間を押してきた。



小林「ふぁあ。」


渡邉「ん、由依眠くなっちゃた?寝よっか、ほらお布団入ろ?」



もう、体を倒して布団を着れば寝れるほど体は疲れきっていた。なのに頭は邪念ばかりで本当に理佐に申し訳なくなる。そんな私をよそに、理佐は私に布団をかけて、自分も布団にもぐる。




ホテルのベットはやけにちいさくて、結構顔が近いなってことに気づいて余計ドキドキした。



布団をかけようとした理佐と絡み合った手が離れて、すこし、いや大分寂しかった。




でも理佐は私のことなんて意識してないのかな。こんな風に悶々とあれこれ試行錯誤してる私バカバカしくないかな。ベタベタしたいって思う私ってそんなにキャラじゃないかなぁ。




私はどこか悔しくて、どこか情けなくて、少し自暴自棄になっちゃって、背を向けて寝ている理佐の手に自分の指を絡めた。



渡邉「由依、眠れなくなっちゃったの?」


小林「…うん。」


渡邉「んじゃあ今日はお泊まりみたいに向かい合って寝よっか」




モゾモゾという言葉が似合うように理佐は私のほうを向いてそっと私を胸の中におさめた。



小林「ん、りさぁ」




もう、どうにでもなれ。今日は疲れている。そんなことを理由にして暴れてしまおう。冷静さなんてくそくらえだ。
眠い体と働かなくなった頭が言うことを聞いてくれない。かまえかまえかまえー、…。


私が初めてりさぁなんていうから彼女は驚いて肩を震わせた。




渡邉「…由依こっち向いて。」



理佐が真剣な顔でこっちを向くから流石の理佐も気づいたかなぁと思って彼女の胸におさめていた顔をあげた。



渡邉「由依、目、閉じて」





バチッ



小林「!?」


渡邉「何するとおもったの?笑。」



!?。いいなりデコバッチンですか。
その企んだ顔、むかつく。
私はこれだけ考えて無茶までしたのに、理佐の手のひらで転がされてる感じ。



小林「…もう理佐なん「由依。」



もう理佐なんて知らないって言おうとした瞬間、理佐が私を制した。



渡邉「ツアー終わったらお泊まりしようね。……………………」



小林「!?」




理佐は私の言葉を制した後、私の耳元で泊まろうといった。



さすがの理佐にも効果はあったらしい。

いや、効果抜群だったのではないだろうか。


最後に一言、それなりに理佐も投げつけてきた。



渡邉「お休み由依。」



理佐は今度は私の胸に顔をグリグリ押し付けて寝息を立て始めた。



あぁ、心臓の音聞こえてなきゃいいなぁって、はぁ、明日もがんばらなきゃなぁって。

やっぱり理佐の方が上手だなぁって。






えぇ、最後の一言?








『ツアー終わったらお泊まりしようね。…今日は我慢するけどそのときは容赦しないから。』


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