BOOK

□Fragrant flower
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初めてなのに、この快楽。
全然痛みは無い。

痛く無いどころか、ずっと疼いて
奥に欲しいと奥を突いて欲しいと
貪欲に強請る自分が居る。


――なにコレ…?

こんな恥ずかしい格好
こんなイヤラシイ動きで洋嗣さんを
奥深くまで咥え込んで

揺れる

揺する

揺すられる


その、快楽
とてもイイ
キモチイイ

たまんない

こんなの

しらないのに
しらないはずなのに

カラダが求める

もっと
もっと…と。


洋嗣さんが欲しいと
この人は私のαだと
カラダが叫んでる。


あっ…
あ…ッ

ソコ…ッ、

カラダがクネる
奥がウネって
カラダの奥の洋嗣さんのカタチも太さも
大きさも…意識する。

こんなのっ

あッ
ダメ……ッ

こんなの
こんなの…っ

ナカにだして…っ
このまま…っ


アッ
アッ
そう、ソコ…っ!


イクッ
イッちゃう…ッ


あっ
あッ
ア!
ア……ッ

グググ…っとカラダが反り返る。
カラダの奥で彼を感じて
彼の迸りを感じて

今まで知らなかった快楽に溺れて

何度も何度も気を遣って。

そんな事が何度あったのか


記憶は途切れ途切れで
でもずっと洋嗣さんの腕の中で
私は小さな頃のように彼の膝の上で
ヒロちゃん、ヒロちゃん…と甘えて
甘やかされて過ごしてた気がする…

そう思いながらもうっとりと彼の逞しい
カラダにすりすりと擦り寄って…


ちゃぷ…


ぼんやりと温かな温もりに包まれて
目の前の水に触れる。

手を仰向けにすれば温かなお湯が指の間を
擦り抜け落ちて行く。

その滴をぼんやりと見ていたら…
大きな手が下からお湯ごと私の手を掬い
ギュ…と握ってまた沈めた。


――…え…?


ぼんやりとしたまま、ゆっくりと後ろを
振り返る。

あ……


ちゃぷ…

ギュギュ…ッ、抱き締められるカラダ。
熱く厚い、大きなカラダが私を包み込む。

洋嗣さんだった。


「…ひ、ひろつぐ、さん…?」

「ん…? 何だ? …花純…?」

「え、…っ? こ、この状況…っ?! 」

「……今までどうしてたか覚えてる…?」

「へ…?! えっ、えっと…っ?! 」

「…取り敢えず、上がろう。立てるか?」


ザバッと支えられ、立ち上がる。

はっ、はっ、はだか…っ!
わたっわたしっ(だけじゃなく洋嗣さんも
なんだけど…っ)素っ裸で…っ!

お風呂なんだから当たり前なんだけど
当たり前じゃ無い状態に混乱して…
湯船から出たとこでの踏み締めが甘くて
足が滑ってしまう。


「っ危なっ」


ガシッと抱き締められる。
…その、裸の胸の下、洋嗣さんの腕が
私のカラダを支えて。

…気にしてる私の胸。
急に大きくなって、クラスの男子たちに
揶揄われてからはなるべく目立たない様に
して来た。そんな胸が明るいお風呂場の
電気の下に晒されて、洋嗣さんの腕が…っ
触れて…っ?!

あわわわ…ッてなって、思わず暴れて
ガタン!って浴槽を跨ぎ損ねた、上げてた
足が引っかかって。


「こら、花純っ」


そう耳元で言われて、
グンッと抱き上げられてしまう。


「ひゃあっ!」


抱き上げられた事で肌を全部洋嗣さんの
目に晒してしまう。


「ひ、ひっヒロちゃん…っ」

「掴まってろ、運んでやるから。
…呼び方、戻ったな。」


よびかた?! 呼び方って何の…っ

アワアワしたまま、でも裸を見られない
ようにギュウッと縮こまって洋嗣さんの
首に抱き付く。胸も、下も…その、隠す
ように。

なのに洋嗣さんは私を足拭きマットの上に
そっと下ろしてバスタオルで包み込み、
自分は真っ裸のまんま私のカラダと髪を
拭き上げて行く。

め…っ、目の遣り場に困る…っ
そう思ってギュウッと今度は自分の目を
瞑ってたら、バサリ、とタオルを広げる
音が鳴り…また抱き上げられてしまった。
それはさっきまでと違って素肌にタオルを
巻き付けた状態だったけど、恥ずかしい
のには違いはなくてっ。


「…何照れてんだ。今更。」

「いっ今更って…っ」

「覚えてないのか?
あんなコトやこんなコトし捲ったのに」


笑いを含んだ声。
その今まで聞いた事のない、艶のある声で
耳元で…洋嗣さんが囁く。

その声に反応して真っ赤になった私の頬。
…それだけじゃなく、急にジュワッと
溢れる、下。…その、濡れて。

自分のその、下…の反応に驚いて咄嗟に
前からタオルを押さえてしまう。
洋嗣さんの腕の中で。


「…誘ってんの? 花純。」

「へ?! えっ、違…っ」

「…本当に、覚えてない?」


下ろされた、ベッドの上。
1階の、洋嗣さんのベッドの。

そんなベッドの上で素肌の洋嗣さんに
伸し掛られて…。恥ずかしくてパニックで
視線を逸らせば、洋嗣さんも…腰には
バスタオル。

あっ、よかった、巻いてる…
って思ったと同時に。


「スケベ。」

「へ?! 」

「…俺の見てただろ。ソレ、『また』
お前ん(ナカ)戻りたいって疼いてんだけど。」


(たいら)でない、バスタオルの前。
そんな初めて見る筈の、洋嗣さんの姿、
知らないのに、知っていた。



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