一往深情
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今日のノルマとなっていた任務を終え、自室のベッドでごろごろしていると通信機が音を立てた。
のそのそと手を伸ばし、耳にあてた。
『んー?』
《俺俺!コウタだけど!》
『なに、どうしたの。』
通信機からは興奮した様子のコウタの声が響く。
少しうるさい。
気持ちだけ通信機を遠ざける。
《任務だよ任務!ヴァジュラだって!》
ヴァジュラ。
極東で現れたことがあっただろうか。
《行こうぜ!》
『わかった。準備してすぐ行くから、待ってて。』
《おう!ロビーにいるから!》
いつも以上に気合の入っているコウタの声が、プツリという音とともに消えた。
さて、行こうか。
立ち上がると、きゅっと髪を結び直した。
*****
ロビーに着くと、そこにはサクヤとソーマもいた。
『コウタに呼ばれて来ましたー。
今日の出撃はこのメンバーですか?』
「そうね。前衛2人に後衛2人、丁度いいと思うわ。」
そこへ受注を終えたコウタも合流する。
「いっちょやりますか!」
「……フン。」
『頑張りましょう!』
揃って出撃ゲートをくぐる。
4人を乗せたヘリはぐんぐんと目的の場所に近づいていく。
心の準備は、できている。
『ヴァジュラかぁ……。』
「コクーンメイデンも複数いる。先にこいつらを始末すべきだ。」
「そうね。落ち着いてやれば大丈夫よ。」
「り、了解!」
先ほどまでの威勢はどこへやら、コウタががちがちに緊張している。
『コウタさーん。誤射しないでよー?』
「するかよ!」
『ほんとにー?』
うりうりとコウタの頭を小突いていると、横から伸びてきたソーマの手に止められた。
『ん?』
「……阿保が更に阿保になる。もうすぐ着くぞ。」
『あ、はーい。今日も生き抜きますよ!』
「(あらあら。)」
そのやりとりをサクヤは静かに見守りながら、ソーマの変化に微笑んでいた。
「(ソーマが自分から人に関わるなんてね。ふふ。)」
いっきまーす、とユイが先陣を切って飛び降りる。
それにソーマ、コウタも続いた。
サクヤは3人の後をおいかけるように、後ろを警戒しながら進んでいく。
『コクーンメイデンいました!
倒します!』
「油断するなよ。」
はーいと返事をしながら、軽々とコクーンメイデンを討伐していく。
慣れたものだ。
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