リボーン

□残酷な頼み(10年後)
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骸「落ち着きましたか」

綱吉「・・・うん、ありがとう骸」

鳴き声が収まり、落ち着いてきた綱吉に声をかけると、きちんと返事が返ってきた。

骸「それで、何があったのですか」

綱吉が話しやすいように優しく心配する様に声をかけると、綱吉が近いうちに自身が亡くなるかもしれないこと、そのために骸に頼みたいことを伝えてきた。

骸「君の感じている余命は根拠がない。それに、雲雀恭弥のためとか思っているのでしょうが、それは彼にとって余計なお世話、寧ろ君に裏切られたと傷つくだけでしょうね」

「雲雀を裏切って傷つける」と言われれば、分かっていたことでも傷つく。しかし、綱吉にはこの方法しか雲雀のために思いつかなかった。

近いうちに自分は死ぬだろう。死ぬ前に、自分が亡くなった後に雲雀を支える人間が必要であり、ディーノに頼みたい。骸には、雲雀が罪悪感無くディーノへ心を向けられるように自分の思い人役となって欲しいと頼んだ。

綱吉「根拠は超直感。裏切られたと思われたって良いんだよ、ディーノさんに心が向きやすくなる・・・」

根拠としては十分だが、認めるわけにはいかない。骸は馬鹿にしたように「当てにならない」と笑ってやった。

骸「それと、僕には何のメリットもない」

綱吉「なら、死ななかったら、お前に俺の身体をやる」

骸「は?」

思わぬ交渉条件に骸は耳を疑った。超直感で死ぬと言っているのに、死ななかったら自分が欲しがっていた綱吉の身体を渡すというのだ。確かに、超直感を否定したのは自分だが、あれほど拒絶していた事を雲雀恭弥のためだけに、それも死ななければ彼を完全に裏切る形となるにもかかわらず簡単に手放すと言う綱吉が骸は腹立たしかった。

馬鹿にしている。自分が彼を好きだと気付いているからこそ、彼に愛される役や死ななかったら身体をやるなどと本当の・・・自分が望む意味では彼をくれないにもかかわらず、期待させる。そのくせ、その全てが雲雀恭弥のためなのだから、腹立たしくて、悲しくて苦しい。

綱吉「俺の身体が欲しいんだろ」

分かっていて、今まで散々自分が揶揄い半分で彼に言ってきた方の意味で交渉をしてくる。そんな最低なことをされても彼を嫌いになれないと知ってやっているのだから、彼を嫌いになれない自分も含めて本当に腹立たしい。

骸「死ななかったら、貴方を僕の恋人にしてあげますよ」

綱吉「は?お前何言って・・・」

条件をただの器である身体では無く名称としても価値のある恋人役を条件にすれば、慌て出す綱吉。しかし、骸としては「何を言っているのか」は綱吉の方、自分の気持ちを知っていながらこの様な事をされるのだから、気分が良いわけなどない。本当ならばすぐにでも断るところだが、綱吉を正当な形で誰にも文句を言わせない方法で手に入れることが出来るのであれば頼みを聞かないこともない。

骸「別に良いでしょう。貴方は自分が死ぬと思っているのですし、雲雀恭弥は跳ね馬にやるのですから」

確かに自分は超直感で己が死ぬと骸に告げ、雲雀のこともディーノに譲ると言った。死ななければ身体を骸に渡すとも・・・。けれど、改めて他人の口から雲雀をディーノに譲ると言われると辛い。本当は譲る気などない。少しの間、特殊弾で仮死状態になるだけ・・・死ぬわけじゃない。でもそれを骸に伝えるわけにはいかない。10年前のボンゴレリングを持った自分たちに百蘭を倒してもらうにはこの方法しかないけど、今の自分たちより弱い過去の自分たちに託すのは不安が無いと言えば嘘になる。彼らが死ねばこの世界の未来が無いどころか自分も本当に死んでしまう。いや、本当に死んだら、雲雀さんとディーノさん二人が楽しそうに恋人として過ごす姿を見なくて良いのだからある意味良いのかも知れない。

綱吉「・・・・分かった」
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