リボーン

□残酷な頼み(10年後)
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沢田綱吉が殺される1週間前、彼の執務室に呼び出しをされた。

骸「何ですかボンゴレ、僕も暇ではないのですよ」

綱吉「あはは。いやぁ〜・・・お前にしか頼めない事があってさ・・・」

最近、ボンゴレ狩りで多くの部下を亡くしている彼だが、今日はそれとは別で元気が無いように見える。別に彼の気分や健康などどうでも良いが、この様子で「仕事」ではなく「頼み」と言うのだから多少気になる。

骸「仕事ではないのなら帰ります」

綱吉「あっ・・・待って骸・・・」

言い出しにくそうだったから、いつものように「帰る」と言えば慌てて骸を呼び止める綱吉。だが、今回は呼び止めてもすぐには用件を言わず、俯いたり唇をかんで苦しそうな表情をしたりと本当に普段とは異なり気になってしまう。

骸「部下が亡くなって辛いのであれば、彼でも呼んで慰めてもらえば良いでしょう。君が望めば、彼はすぐにでも来ますよ」

「彼」と言った瞬間に一瞬だけ更に辛そうな表情をした綱吉。また喧嘩かと思いながらも、今回は綱吉がかなり苦しんでいるので雲雀を挑発してやろうと思い「呼んであげますから、さっさと要件を言え」と言って電話をかける。

綱吉「・・・っ・・・呼ばなくて良い・・・、呼ばないでっ!」

すると、急に綱吉が骸の手を取り雲雀を呼ぶなと叫びだした。その様子はやはり普段悪ふざけをした時に怒って止めるものとは違い、苦しそうで泣きそうな表情をして必死であった。

骸「ボンゴレ、何かあるのであれば言いなさい。今回は特別に仕事で無くても話くらいは聞いてあげますよ」

雲雀につながる前に電話を切った骸は、他の守護者ではなく今もまだ彼の身体を狙っていると思わせている自分に頼るほどの出来事について話を聞くことにした。

綱吉「・・・ありがとう」

しかし「ありがとう」と言ってから数分。待っても泣きそうな顔をするだけで何があったのか話し出さない綱吉に骸は苛立ってきた。

骸「話がないのであれば帰ります」

綱吉「あっ・・・」

立ち上がり、出入り口の扉へ向かおうとするとまた「行かないで」という様な泣きそうな顔を向けられて行けなくなってしまった。

骸「はぁ〜。何があったんですか」

話したくても、話ない様子の綱吉に心が痛む。ソファに座る綱吉の隣に座り直し、彼の頬に手を添えてこちらを向かせながら優しく声をかけた。

綱吉「うぅっ・・・むくろ〜」

骸の優しさに緊張が解けたのか、泣き出した綱吉。泣いている理由は分からないが、とりあえず落ち着くまでこのまま胸を貸してあげようと考え、なだめるように優しく抱きしめて頭を撫でてやる。
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