□交差
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「名無しさん、ありがとなァ。でも、俺は十分気持ち良い。名無しさんが気持ち良いなら、俺も気持ち良いんだ。」



「…そうなの?」



実弥がどんな気持ちで言っているかなどよく分からず、純粋に信じてキョトンとした顔で、瞬きした。そんな名無しさんを、また、愛おしいと思って自然と笑顔になった。





「なァ、名無しさん。」



「なぁに?」











「こっから先は、名無しさんにとっては激痛の連続になっぞ。それでも、続けるか?俺に、全部をゆだねるか?」



「………」



黙ってしまった名無しさんを見て、実弥は秘部から指を離した。しかし、直ぐに名無しさんからの返事はあった。



「最後まで、する。まだ、お父さんとお母さんみたいには、なってないでしょ?あれが一番高みなら、私は実弥とそこを越える。どれだけ痛くても辛くても、実弥となら大丈夫なの。ずっと一緒がいいの…。だから、お願い。」



下から右手を伸ばして実弥の頬を包み込むと、するすると指で撫でる名無しさん。その顔は、女神のように、美しく笑っていた。



実弥と名無しさんは、お互い目を逸らすことなく、約束した。



実弥は、再び名無しさんの秘部に手を持っていくと、ゆるゆると膣の入口を上下になぞった。愛液を塗り込むように。



「んっ…」



そして実弥は、ゆっくりと、本当にゆっくりと、名無しさんの膣へと人差し指を侵入させていった。



つもりだったのに。



処女膜に当たって、名無しさんはビクッと身体を震わせた。指の先しか挿っていないどころか、ただ入口を触っただけ。



「っ!!ぅ、…」



絶対に痛みを我慢している。実弥は、名無しさんの表情から容易に読み取ったが、どうにかして快感へもっていってあげたいと、入口を擦りながら考えた。それだけでも、名無しさんは痛かった。



「名無しさん。痛いだろ。」



「…うん、」



ギュッと力を入れて目を細めて天井を見ていた名無しさんは、実弥に呼ばれて目を合わせた。



実弥も、辛そうな顔をしていた。



少し触るだけでも痛がっているのに、このまま突き破ったら……。実弥は、時間をかけて、慣らしていこうという結論に至った。



親指を使い、陰核を強めに押して摩る。たまに、尿道まで押しながら、とにかく痛みから遠ざかるようにと、願った。



「あッ…!っ……んッんぅ!」



人差し指で、膣の入口を上下に行ったり来たりした。愛液が、潤滑剤の役割を果たしてくれた。ヌチャヌチャと水の音がする。



指を巧みに使いながら、入口を四方八方に指で擦り続けると、段々と広がりを見せてきた。真ん中の穴を確認するため、両側に少しだけ開いた。



どうにか指一本は、いけそうな気がした。実弥は、陰核への刺激はずっと続けながら、今度こそ人差し指を中へと進めて行った。



「んッう!!」



大きなくぐもった声を出した名無しさん。腹筋にまで力が入っている。



「名無しさん、俺を信じろ。力を抜いて、身体をゆだねろ。必ず気持ち良くさせてやる。」



うんうん、と頭を縦に振るので精一杯な名無しさん。右手は、敷布を引っ張りキツく握っていた。



実弥は、名無しさんが頷いたのをちゃんと確認してから、処女膜を触り、ゆっくりと抜き差しをしながら、段々と指を奥へと挿れて行った。



狭い。



名無しさんの膣は、想像以上にキツかった。だからといって、やめない。実弥も、名無しさんも、そんなこと望んでいないから。



「八ッ、ぅ、…ふ、ゥ、ふぅ…」



名無しさんは、実弥の指を受け入れたくて必死に深呼吸していた。下腹部に入れてしまっていた力も、抜くように心がけた。



二人共、必死だった。けれど、二人の想いは、全く一緒だった。



ゆっくりと、ゆっくりと、抜き差しを繰り返しながら、奥へ奥へと進んで行く。



実弥の人差し指が、全部入った。



ホッとして息を吐いた実弥。見上げると、自分を見ていたらしい名無しさんと目が合った。



「全部、入ったぞ。人差し指だけなァ。」



名無しさんもまたホッとして、笑顔を浮かべた。



そこからはもうお互いに気持ちに寄り添いながら、どれだけだっていい、時間をかけて、指を、一本半…、二本…、二本半…、そして、三本が入りきった。



「名無しさん、俺の指の形が分かるかァ。」



「うん、分かるっ。」



二人は、一緒に前進していくものだった。





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