バレンタイン クリスマス小説 

□mischief or  Oath
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「んっ……」

熱い吐息が、心まで惑わせるようだと、飛影は思った。
熱い身体を抱き留めれば、しがみついてくる。このときだけが永遠のようだ。
好きだと、何度も蔵馬が言った。分かっていても、その言葉が飛影を満たす。

「あっ…」
うっとりとそう呟き、足を自ら広げていく、孤高の狐を、強く抱きしめた。
「ふっ…」
苦しさと甘さを混ぜた声が、つんと飛影の身体を熱く刺激する。
細く白い身体の全てを奪おうと舐めれば、蔵馬がふっと笑った。
「好き、だよ」
「わかっている」
言えば、瞳の奥が深く輝いた。

「…あれに…香りがね…」
「気付いている」
ふいに囁かれた言葉に、ふっと、飛影は笑った。
「お前の武器の花の香り…」
言えば、蔵馬は更に頬を染めた。
熱いからだが、火照りを帯びて溶けるように胸を擦り合わせた。

「…お前の気持ち…」
口づけをすれば、生暖かな舌が絡みつく。
ねっとりとそれを奪い、そのまま歯の奥までを支配するように
かき回していく…。

「んっ…あ…」
身体が、深く重なっていく…。

見上げるこの視線を、幸せと言うのだと、一瞬甘すぎる言葉が浮かんでは消えていく。
この人を傷付けるものがあるとすれば、それの全てを破壊するだろう。

この恋が消えることがないと、確かめるように貪っていく。
熱く、深く打ち付ければ蔵馬の身体が跳ねる。

「好きだ」
その言葉を、唱えるように深く…飛影は紡いだ。

「あっ……うっ…」
ガクンと、蔵馬の膝が大きく震えた。熱い迸りをぶつけ、ふたりの身体が重なっていく。

「伝わった…だろ…」
倒れ込む蔵馬の黒髪を、甘く飛影は撫でた。

甘い涙を流して腕に収まる蔵馬のその先…花瓶の花をゆっくり見つめる。

「…お前の…花」


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