バレンタイン クリスマス小説
□mischief or Oath
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「それは俺が…」
「えっ…」
花びらを、蔵馬が映した。
咲きかけている花が、蔵馬の碧の瞳に揺れる。
「お前の…好きな花に似ているから…今日は…」
そこで言葉が切れ、飛影は唾を飲んだ。
「気持ちを伝える日だと聞いた。だからお前の所に…」
蔵馬の白い頬が、薄桃色に染まった。
「…そんな…日…」
「調べた」
即座に返される答えに、蔵馬が言葉を失った。
蔵馬から目を逸らす飛影と、蔵馬が飛影を見られなくなったのは、同時だった。
「…たまには…俺だってそのくらい…」
ベッドの傍で、飛影が真っ直ぐに、蔵馬の碧の瞳を見つめた。熱い何がそこに浮かんだ。
「それ、じゃ…」
頬を染め、蔵馬が小さく呟いた。
「お互い様…だね」
そっと、首筋に手を回し…小さく手を握った。
口の端を小さくあげ、そばで感じる蔵馬の息が甘い。
「これ…ね」
薄桃色に染まった頬をそのままに、手のひらを開ける。
小さなブレスレットだった、黒い。
「…魔物が近づいたら光るから」
それだけを、告げた。
「俺の代わりに守るから」
唇が、重なった。