Parallel novel

□空を覆う浮雲・序章
1ページ/5ページ

燃え盛る炎、崩れて行く我が家。鼻を突く血の臭い…全てが自分を蝕んで行く。

目を覚ました瞬間、自分は全て失ってしまったのだと悟り、絶望に打ちひしがれた。


《空を覆う浮雲・序章》


「…先生!綱吉くんが意識を取り戻しました!」

目を覚ますと、真っ白な天井が目に入る。どこからか女性の声が聞こえる。視線だけ動かすと看護婦の姿が見えた。どうやらここは病院らしい。

(…母さん…)

あの状態じゃ恐らく助かっていない。確信が持てた。

慌てた様子で医者が駆け込んでくる。

「良かった!君が助かって。生き残っただけでも奇跡だよ」

嬉しそうに話す医者から目を背ける。

そんな事知らない。何故自分は助かってしまった?
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ