Long novel
□第6話
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嵐は唐突に巻き起こる。
《第6話》
最近よく夢を見る。
『―――…』
それは自分であり、自分ではない『もう一人』の自分の記憶。
『――ゆ…や』
途切れ途切れのそれは、よく判らないけれど、優しいものだったと思う。
『――きや…』
目の前にいるのは金髪の青年。顔はぼやけて誰だかは判別できないが、よく知っている気がする。
(―――?)
急に辺り一面に霧が立ち込め、視界が覆われる。
――クフフ…
聞こえるのは奇妙な笑い声と、別の誰かの声。
『―――雪弥……』
それは、もう一人の…
「…………また、あの夢…」
空が白んで来た頃、目を覚ました雲雀はゆっくりと体を起こす。
(……)
最近見る同じ夢は雲雀に何かを予感させた。