Short novel
□女王は大空に依存した
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寂しいなら、いつでも呼んで。
傍に、いるから。
《女王は大空に依存した》
空が朱に染まる頃、綱吉は一人教室で一枚のプリントと格闘していた。
というのも、綱吉は他の生徒よりも成績が悪い為、一週間の補習の強制参加を言い渡されていたのだ。
今日がその最終日。必死に頑張った成果もあり、何とか補習をやり遂げる。
「やっと終わった…」
綱吉は安堵する。体も心もクタクタで、早く帰りたかった。
が、世の中そんなに甘くはなくて。
「――やあ」
冷たい響きを伴うその声に綱吉の体がビシリと硬直する。
「……ヒ…ヒバリさ」
「久しぶりだね。沢田綱吉」
『久しぶり』の部分に随分と棘がある気がするのは気のせいだろうか。雲雀は綱吉に微笑みかける。尤も、目は笑っていなかったが。