たんぺん
□誕生日、ありがとう
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「つーわけでこうして、団子を食べにきてやったんでさぁ」
「‥‥いきなりそんな事言われても、何がなんだか分かんないんですけど」
しかも偉そうだし、と言って注文した団子とお茶を出したのが、
この団子屋の、いわゆる“看板娘”で。
じーさんばーさんばっかりのこの老舗に、
自分より年下(つまり、俺ぐらい)の奴が来るのは珍しいらしく、
俺が来ると休憩をとって、一緒に喋ることが多かった。
そんな彼女を、
気にしてないと言えばそれは嘘になるわけで。
この店に来る理由の7割は彼女なわけで。
いや、8割ぐらい?
そんなわけで。
とにかく、俺はここの団子が好きだった。
「サボってんじゃねーよ。仕事しろぃ」
「えー?総悟くんが言うの?」
何度目かになるその会話を挨拶程度に交わしたあと、
いつもの様になんでもない話をした。
にこにこと楽しそうに聞く彼女を見てると、
なんかもう、どうでも良いかな、なんて思うから怖い。
「でね、‥‥‥って、聞いてる?」
「あーー、聞いてる聞いてる。
で、クリフトが馬車で何だって?」
「‥‥‥クリフトが使えないなんて話はしてないよ?」
「あれ、そーでしたっけ?」
もう、帰ろう。
小さくごちそーさま、と言って立ち上がる。
財布に手を掛けると、あ、と言って手の動きを止められた。
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