毒膳

□ORPHAN HEAVEN
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家に着くなり袋の中身を改められて、
その上、「うわ…」などと嫌そうに呟かれた。


張飛と同じく、彼も甘いものが苦手なのか、
それともこれが健全な反応で、やはり自分が異常なのか。
どちらにしろ袋をぽい、と放置されたところをみると、
およそ受け入れられはしなかったらしい。


「お腹空いてるなら、何か頼みますか?」


「いや、いらない」


遠慮をしているわけではなく、本当に要らないという口ぶりだった。
部屋をきょろきょろと物色している。


「一人暮らしなのか?」

「ええ」

「それにしては、片付いてるな」


感心というよりは、呆れたようなニュアンスだった。

自分でわざわざ認識する機会もないが、
身の回りのことはなんでも、人並以上に出来た。

そんなんだから女出来ねぇんだよ、と、張飛は酔うたびに絡んでくるものだ。


「何も食べないなら、シャワーでも入ってきたらどうですか」

汗かいてるでしょう、と浴室の方向を指し示すと、馬超の動きがぴたりと止まる。

暫く黙っていたと思ったら、わかった、と言って風呂場に向かう。


着替え、出しておきますから、と消える背中に向かって言って、
姿が見えなくなったのを確認してから、携帯を取り出す。


ピ、と呼び出した番号の、登録された名前は、諸葛孔明。



この仕事の「管理者」だ。


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