長編
□プロローグ
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サァ−−−
見渡す限り緑の草原が広がっている。
そこには少女と獣、そして大きな水晶が浮いていた。
「最悪だわ」
歳は16、17ぐらいの少女が綺麗な顔を歪ませて呟いた。
「そう慌てるではない。下手をすればこうなるかも知れない、と主は予想はしていたではないか」
真っ白い綺麗な毛並みをした獣、狼が吐き捨てるかのように喋った。
「確かにそうかも知れないけど!まさか本当に起こるなんて思いもしなかったわ!!」
「落ち着け!そなたが取り乱してどうする!?」
ぐっ、と少女は唇を噛み締めた。
「主は何よりそなたを破壊されるのを恐れていた。だからこそ、もしもの時に備えてちゃんと準備をしていたのではないか。違うか?」
「………それぐらい…分かってるわよ…」
少女の泣きそうな声が小さく響く。狼が一つ溜息を零した。
「そんな顔するではない。何より主の魔術は成功したのだ。主はまだ生きている」
そう言いながら狼は隣にある大きな水晶を優しく見つめた。
中にいるのは三歳ぐらいの小さな子供。硬く目を閉ざしていて肌は死んでいるかのように白い。
「そうよね…あの子は絶対生きてるわ」
少女は先程とは違い強い光を燈した目で小さな子供を見た。
待ってて
あなたが何処にいようとも
どれだけ時間がかかろうとも
必ず私が見つけ出して見せるわ
そして
次こそは全てを終わらせましょう
この悲しい世界の戦争を
絶対に−−−−