ありえない事はこの世の中にはない。
どこかで聞いた事のある言葉だ。だけど…
「(ありえない事が目の前で起きたら、そう簡単に受け止める事は出来ないでしょー)」
〜神様のいたずら2〜
「えーと、つまりマリアローズさんはアンダーグラウンドでモンスターに出会って戦闘中に攻撃を受けて気を失い、気がついたらここにいたってことでいいんでしょうか?」
「まぁ、簡単に説明するとそうなるね」
モンスターじゃなくてフリークスね、と細かい所を指摘しながら優雅に紅茶を飲むマリアローズさん。
失礼ながら私から言わせるとモンスターだろうがフリークスだろうが一緒だ。
「でも、ここの世界にはエルデンと言う国はないんだよね?」「ないです」
マリアローズさんの話しははっきり言って私から言わせてもらうと、ファンタジーの世界だ。しかもかなりヤバそうな世界。
奪うも殺すも全てが自由。法なんてあったものではない。しかもモンスター、…じゃなくてフリークスだっけ?異界生物まで出てくるらしい。
ぶっちゃけ妄想の世界でしょ。あははー、頭大丈夫ですかー?って言いたくなる。
だけど、綺麗なオレンジの瞳が嘘をついているようには見えない。マジですか。
「…とりあえず帰る所はないんですよね」
「うん」
「じゃあ帰り方が分かるまでここにいていいですよ」
えっ、と驚いた顔をするマリアローズさん。
「いいの?こんな身元も良く分からない知らない人間を泊めたりして」
「大丈夫ですよ。それに知らない人じゃないです。自己紹介したんですし。何より…」
女の子を一人で外に放り出すなんて出来ません!
僕は女でもないし、そういう問題でもない気がする。