Novel
□初対面
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「なぁ秋。後ろから何か変な独り言が聞こえない?」
咲智は秋に尋ねた。
「……本当だ。まさか幽霊?」
秋と咲智はその場をゆっくりと振り返った。そこには微かに見える炎とフラッシュの光。
「なーんだただのトレーナーじゃん。」
「あーびっくりした。」
一方、幽霊と勘違いされた真森達はというと…
『アンタいっつもちょこまかとムカツクのよっ!』
『フラッシュも使えへんトカゲがウチに突っかかろーなんざ1000億年早いわっ!』
『わたくし、地下通路よりもこの二人の方が怖いですわ。
真森っち、この二人を置いて早くここから出ましょ。』
マリンが目をキラキラさせて言う。
これもある種のフラッシュと言えるのではないだろうか。
「そ、そうだな。」
マリンのぶりっこに相変わらず弱い真森はケンカする二人を置いて真っ暗な地下通路を走った。
「一本道だし、フラッシュなんていらなかったな。
…ん?誰か二人組の男がいるぞ。」
真森の目の前には秋と咲智。
『いやーんvあの左の人知ってますわv』
マリンは咲智を指さす。
「誰?」
「は?」
もちろん真森はマリンに左の人は誰かを尋ねたのだが、振り返ったのは自分達が見知らぬトレーナーに話しかけられたと思ったのだろう。
目の前の二人組だった。
『キャーー咲智様ぁ〜v』
「ギャーー俺のマリンがぁあぁああっっ!!」
咲智に抱きつくマリンに対して真森はショックで冷たい地面に座り込んだ。
咲智と秋はというと何この人という地面よりも冷たい目で見ている。
そして遥か向こうからからは今も尚、ケンカ真っ最中のライドとレイムの炎と電気が飛び交っている。
「ちょっ!何だよ、このプリンっ!」
『うふふ、うふふ、うふふv』
咲智は顔面にしがみつくマリンを振り払おうとするが、マリンはもう離さないと言わんばかりにがっしりとくっついている。
「なぁ、このプリンはお前のか?」
秋は座り込んでいる真森に尋ねた。
「そうだよ、可愛いだろ?惚れるなよ!」
「……じゃあ、あれもお前の?」
秋は後ろから走ってくるライドとレイム……それに蓮とバンジを見て言った。