Novel

□帰還
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「バンジ、悪かったな!こんな男女のとこにいて居心地悪かったろ?」

蓮はそう言ってバンジを抱き抱えたままチラッと真森を横目で見た。

「なんだと?元はと言えばお前が原因じゃねーか!それにバンジは俺といた時案外楽しそうだったけど?」

真森はバンジに「なっ!」と言って笑いかけた。

『あ?なーに言ってんだテメー。ちょっと俺と行動を共にしたからって馴れ馴れしくすんじゃねぇ。』

ヘンッとバンジは鼻を鳴らしてそっぽを向いた。

「へへっ!バンジ良くやった!」

蓮は真森がバンジにそっぽを向かれた事が気分良いのか笑いながらバンジの頭を撫でた。

「さ、君も真森の所に帰りな。」

咲智は未だ頭に乗っているマリンを抱き抱えると真森に渡した。

「あ、ありがとうございます……。」

『真森っち、わたくしと咲智様のポケモンを交換してもよろしいのよ!』

「なんだよそれ!俺はマリンたんに会いたくて会いたくてしょうがなかったのにー!」

真森はマリンをぎゅっと抱きしめた。

するとライドとレイムも自分も!というように真森に抱き着いた。

「へぇ。真森もそれなりに懐かれてんだな!」

秋が変に感心したように呟いた。


「よしよし、これで一件落着ってワケだ!」

蓮はそう言うとバンジを肩に乗せてその場を立ち去ろうとした。

「おい。何か忘れてねぇ?」

秋がそう言って立ち去ろうとする蓮の服のフードを掴んだ。

「ぐぇっ。…んだよ?」

「しらばっくれんじゃねーぞ。俺達から盗んだ金は?」

「あ?……さっき返しただろ。」

蓮は目を合わせずそう言った。

「あ!そうだ、俺の可愛い鞄も!」

真森も思い出したように秋と同じく蓮のフードを掴んだ。

「真森ちゃん、3000円ぽっちしか入ってないのにケチケチするもんじゃねーよ。」

「うるせぇっ!俺の全財産返せっ!」

「俺と咲智の分もだ!このチビ!」

そんなんで三人は揉み合い始めた。

「はぁーっ…真森まで…。」

咲智は止めなくてはいけない人が一人増えたせいでいつも以上に大きなため息をついた。

「咲智さんっ!咲智さんからも言ってやって下さいよ!!」

真森の言葉に咲智はふぅ、とため息をついて屁理屈を言い続ける蓮に近付いた。
すると今まで真森と秋に突っ掛かっていた蓮の肩がビクッと揺れた。
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