Novel

□別れ
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「え!咲智さん今なんて言った?!
なんか俺が強い……的なことが聞こえたんだけど。」

蓮と言い合いをしていた真森は蓮を無視して咲智の方へと駆け寄る。

「ああ言った。
真森は本当に強いと俺は思うよ。ふざけているように見えて、ちゃんとポケモン達のことも考えている。だからこのリザード達は真森のふざけたところを含めて好きだし、慕っているんだと思う。」

咲智は優しく真森とライド達に言う。

「ありがとうございます!」

真森は咲智の言葉に少し照れながらもまた礼を言う。


「そういえば真森達はこれからどうするんだ?」

クチバシティが見えてきたため秋が真森に問う。

「どうするって…もちろんクチバジムに挑戦するに決まってんだろ!」

『何言ってんのよ真森!』
『まだ等身大カスミチョコ買ってないやろ!』
『チョコの費用を貯めるためにカツアゲしにここまで来たのを忘れたんですの?』

ライド達が真森に文句をつける。

「そうでしたそうでした。…ってわけだから俺はハナダに戻る。」

「そっか…じゃあここでさよならだな。」
 
秋が寂しそうに言う。

「あっそーだ!」

真森は自分の鞄に触れる。
そこには真森以外の手があった。

「おいてめぇ、また俺の可愛い鞄をあさりやがって…さてはマリンのボールを狙ってるんだろ?」

「は?プリンなんていらないし。俺にはコイツがいればいい。なぁバンジ!」

蓮はバンジの頭を軽く撫で再び人目も気にせず、真森の鞄をあさり始める。

「あさるなアホっ!」
「ちぇっ」

真森は蓮とバンジから自分の鞄を取り返し、中から何かを取り出した。

「はいこれ。今日の記念にどーぞ。」

そう言っている真森の手には真森にとって一番持ちたくない月の石。

「サンキュー!」
「ありがとう!」

「ちぇっ俺にはないのかよ。」

蓮は自分が何も貰えないのが不満なのか舌打ちをする。

「残念ながら月の石は2個しかないんだ。仕方ないから蓮にはこれやるよ。」

「うぉ!これって…」

蓮が真森から受け取った物は巨大な石…貝の化石だった。

「マジでこんな高価な物貰っていいのか?!」
 
「高価どころか俺にはポケモンの死骸にしか見えないから持ち歩くのが嫌だったんだ。将来のチャンピオンとタッグを組んだ記念に蓮にやるよ。
これどこだかの街でポケモンに復活するらしいぞ♪」 

「サンキュー☆」

蓮は上機嫌になり喜んで貝の化石を受け取った。

『早くチョコ買って!』

そう言いながらライドが真森の腕を引っ張る。

「あーはいはい。
じゃ、秋!咲智さん!蓮!またいつか会おうな。」

真森は大きく手を振り、もと来た道を戻っていった。


「変わった子だったね真森って。」

「あぁ。ところでお前、その化石どうするんだ?」

「ふん……お前なんかに教えねーよ。」
重たそうに蓮は化石を鞄に入れてからフェザに乗り、秋と咲智の前から去っていった。


    ――fin

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