桜花学園番外

□きみの好きなもの
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 ある日の校舎裏での出来事。


 「付き合ってください…!」

 「嫌だ」


***


 「待たせたな」

 …決死の告白を、一言で斬って捨てた男前が戻ってきました。ちなみに別に覗き見してた訳じゃない。二階の教室の窓から見える場所で告白なんてするから、丸見えだっただけだ。…ていうか、相手凍り付いたままなんだけど。


 「お疲れ様。冬慈、やっぱりモテモテだな。今月何回目だよ」


 苦虫を噛み潰したような顔で戻ってきた冬慈は、乱暴な仕草で椅子に座った。


 「タイプじゃねー奴にモテても嬉しくねえよ」

 「今の奴みたいな、スポーツマン系ハンサムは許容範囲外か? お前のタイプってよくわかんねえな」

 「喜市君、俺は抱かれたい訳じゃねーの。抱きたい方なの。だから俺よりガタイが良くて、可愛げのないのはお呼びじゃねーんだよ」


 おおっと、冬慈君、まだお昼ですよ。猥談にはまだ早いですよー。


 「可愛いのが好みか?」

 「まあ、ムサいのよりは。ちっちゃくて、可愛くて、媚びてないようなのが好みかな」


 しかし、冬慈の発言は一々男前なんだが、いかんせん見た目とのギャップがある。見た目が可愛いくて容姿に自信がある奴は、冬慈の事をライバル視してる奴が多いから、恋愛に発展するのは難しいんじゃねえかな。


 「流君、新沼君!」


 声をかけられて振り返ると、担任の金村先生が、教室の入り口で息を切らせていた。


 「ちょうど良かったよ! 手伝ってもらえないかな? 明日のHRで配るしおりを作らなきゃいけないんだけど、このままじゃ間に合わないんだ!」


 いつも何か必死な感じの金村先生だけど、今日はかなりテンパってるのか妙に落ち着きがない。金ちゃんの頼みを断るのは、小動物をいじめてる気分になるので、俺はなるべく引き受けるようにしていた。


 「俺は別に構いませんけど。…冬慈、部活は?」

 「今日は休み」

 「なら、二人とも大丈夫です」

 「よかったー! それじゃ、僕の教務室に来てくれるかな? 僕は先に行って準備してるからね」


 そう言うと、金ちゃんはバタバタ足音を立てて廊下を走り去って行った。大慌てなんだろうけど…可愛いなー…っていうか。


 「冬慈のタイプって金ちゃんなんじゃねえ?」


 
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