†短き夢†

□拍手お礼小説(泰明夢)
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とある、朝の出来事。

「おい、起きろ」

しーん…

安倍邸。泰明は毎朝寝坊三昧の少女を起こすため、彼女の部屋に踏み入っていた。

すやすやと眠る幼げな表情に、泰明はしばし目を奪われる。

「ん…ぅん……」

少女が身動ぎをするたびに、泰明は理性を保つのに必死だった。

「……まだ起きぬつもりか」

早起きを好む泰明は、しばし柳眉を寄せていたが、やがて少女の体をゆすり始めた。

「いい加減に起きろ。朝だ」

「ん……」

ようやく、少女の瞼が持ち上げられた。

そして、

「……って、キャァアァァア―――ッッ!!!」

「(Σビクッ)」

ガターン、スッテン。

盛大な奇声と騒音をたてて、少女は部屋から飛び出して行った。

それもそうだ。

朝っぱらから若い男、しかも好きな人の顔が間近に飛び入ってきたのだから、若い年頃の娘は勿論動揺する。

しかしそんなことを知らず、一人部屋に取り残された泰明は。

「いったい、何だというのだ」

やはり、鈍感というか鈍いというか。

それから、少女はしばらく朝寝坊をしなくなったとか。

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