故に赤き大地を蝶は舞う
□01 月下為君
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例えばそれはくだらない物語かもしれない。私からすればこの世界は他人事だし、わざわざ私が世話を焼く事もないはずなのだ。
「ねぇかすが。」
「なんだ?」
「かすがはどうして戦うの?」
そんな私の問いにかすがはふふんと鼻を鳴らした。
私は、関係ないはずなのに、
「謙信様の為だ。私は謙信様をお守りする為にある。」
「平和、とかじゃなくて?」
「謙信様が平和を御望みになられるのならば。」
それでも私が彼女を救いたいと願うのは彼女が一人の人という事が解らないからかもしれない。
彼女を真の意味で救うとすれば、それは忍の定めから解き放つ事だろうか?
ただ今解るのは、きっと彼女が死んだら、彼も泣くだろうに。それすら解らない彼女が可哀相で仕方が無い。
失明ハニー
(信念と想いは人を盲目にするのね)