故に赤き大地を蝶は舞う
□06 破邪清真
1ページ/1ページ
蘭丸は。私は呆っとしながら口を開いた。
ここは前田の家。たまたま遭遇した私と彼は雑談からふと、話が変わった。
「怖いものって無いの?」
「別に?」
「、信長公も?」
んー…とまつ特製の和菓子を口に入れて彼は木目の天井を見上げた。ふんわりとした香りを纏った風が私達の間をすり抜けていく。
「丸は、信長様を信じてるから」
「怖くないんだ」
「うん。寧ろ濃姫様の方が怖いんだ。この前だって少し黙って金平糖を食べたらさー!」
そのまま世間話に戻ってしまった彼を見て私は苦笑して滑空する燕に視線を移した。
弾丸スワロー
(彼はまだ戦うにはあまりに幼く、世界の本質を知らなすぎた)