故に赤き大地を蝶は舞う

□07 仁吼義侠
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戦が終わったばかりの、奥州。闇夜に映し出されるのはゆるゆると流れ続ける紅で、私は充満した臭いに眉を寄せた。


「小十郎、」
「…なんだ。」
「痛い?」


「政宗様に比べればこんなもの痛くもねぇ。」

そう言いながら包帯で止血していく彼。月明かりに照らされた傷だらけの躯にまた、一つ守った命の数が刻まれた。


「――小十郎が望む世界に必要な物は何?」

「生。」

その言葉を吐いて彼は私を真っ直ぐ睨む…いや、見てくる。しっかりとした強い瞳と口調に私は口元を緩めた。
なんて強い、確固たる意志なのかしら。


「生きて、この戦国乱世の終わり…政宗様の望む世界を右目で見なきゃならねぇ。そのためにも、生きる。」

こんな所で死んでたまるか、そう言って彼は包帯をまた一つ強く結んだ。









ブレイブハート
(戦国乱世を生きて、勝って、屍の上に立ったとしても)

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