(=゜ω゜)ノ

□謎の取り引き『ちゅっこら』
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我妻涼の下についてからというものの、俺もすっかり裏の世界に馴染んできたような気がしている。
この辺りを縄張りにする組、チンピラ、ガキ共その全てが奴の手中にあると言っても過言ではなく、本気で俺は尊敬してるし命かけて付いていくと決めた。

そんなある日、街中を歩いているといきなりアニキのケータイが鳴って足を止めた。


「どうした。…今からか?あぁ、仕方ない。わかった、どこにいる?すぐ行くから待ってろ。」


ピッと電話を切ると、アニキは吸っていた煙草を捨てた。


「どうしたんだ?」
「…少し寄るところがある。先に行け。」
「どこ行くってんだ。」
「ちょっとちゅっこらしてくるだけだ。すぐ行く。」


ちゅっこらってなんだ!?
アニキの顔は何やら穏やかではない。謎の言葉に疑問を抱きながら、俺は歩き出すアニキの肩を掴んだ。


「俺も行きますよ。」
「なぜだ。」
「俺はアニキについてくって決めたんだ!」
「ちゅっこらするだけだぞ。」


だからちゅっこらってなんなんだよ!?
新しい取り引きか!?なら尚更一人で行かせれねぇ。


「それでも行きますよ。」
「行ってどうする。」
「ちゅっこらってやつに付き合ってやる。」
「…お前もちゅっこらするってのか。」
「アニキが望むならいくらでも。」
「本気で言ってんのか?」
「俺はいつでも本気だ!!」


その時、いきなり拳が俺の顎を直撃した。ぶっ飛んだ俺はわけもわからず血を拭いアニキを睨み付ける。すると今度は胸ぐらを掴まれものすごい形相で怒鳴り付けられた。


「俺がんな事望むとでも思ってるのか!!」
「知るか!とにかく俺はついてく!」
「市井!!テメェまさか狙ってるわけじゃねぇだろうなぁっ!」
「狙うもくそもねぇ!!」


こうして俺達の言い争いは長い事続いた。わけわかんねぇよ。なんでこんな怒鳴られなきゃなんねんだ?

そもそも『ちゅっこら』ってなんだよ!?


「なぁアニキ!お願いだから…っ!」
「それ以上言ったら殺すぞ、市井。」


俺の額に銃口を当てたアニキの目は本気だった。安全装置にかかった指に力が入るのを目にしたと同時に変な汗が滲み出て、両手を上げ一歩引き下がる。
悪かったと小さく言うと、アニキは銃をしまい背を向けて行ってしまった。


「はぁ…ちゅっこらって…」


ちゅっこらって、そんな大事なもんなのか…



fin.

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