SS的なもの

□ジュン「水銀燈……なんて綺麗なんだ……!」
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「くすくす…久しぶりねぇ、真紅…」
「…ええ、久しぶりね、水銀燈」
「あいかわらず不細工な子……くすっ、『それ』があなたの新しいミーディアム?
情けなぁい…腰抜かしちゃってるみたいよぉ?あなたにお似合いねぇ」
「なにやってるのジュン。それでもあなたはこの真紅の下僕なのかしら。しっかり…」

「あ…あぁ…」

「…ジュン!いい加減に…」
「あはっはははっ!真紅!あなたのミーディアム、もう壊れちゃったみたい!さすがあなたのミーディア…」

「ああ…なんて…なんて…………

 なんて綺麗なんだ…!」
「………はぁ?」「………ジュン?」
「美しい…美しすぎる…!この世にこんな美が存在したのか!存在できたのか!
黒!くろ!!B L A C K ! ! !全ての色を包括し全ての色を体現する色の究極!
その究極に染められたドレス!まさに究極の美衣!羽衣!!
そう、羽衣!なにより翼!天使の象徴!それが黒!究極!究極の天使!!」
「ちょっと、ジュン」
「うわぁ究極だって!ただでさえ天使美しいのに!それが究極!究極の美天使!
それだけじゃない!銀!白の極致!究極の逆の極致!T H E S I L V E R ! ! !
銀の髪!究極の中で映える逆究極!いやもはや至高!?究極を越えた至高!
至高の美!至高の美天使!!うわもうなにこれ美なんて超越した!神!いや神すら凌駕して久しい!!!」
「…なにこの人間…」
「神じゃない!神なんてもんじゃない!じゃあなに!?なんて言えばいいの!?
言葉がないよ!この地上にこんな奇蹟の言葉はないよ!!
!!!!!ああ!!そうだ!!そうだよ!!奇蹟そのものの名前!!水銀燈!?水銀燈だよね!?
そうだ!!水銀燈だ!究極の至高!超越の凌駕!世界の奇蹟!水銀燈!!!!」

 
「そう…そうだよ……ふふ…は…うふふ…」
ジュンは陶然と自分の世界に浸り、うすらわらって天井を見上げたまま動かなくなった。

「…この人間頭おかしいんじゃなぁい?真紅、さすが貴女のマスターねぇ」
「…ホーリエはなんでこんなのを選んだのかしら」
「ふふっ…でも私の美しさを理解してはいるみたいねぇ
あなたには見向きもしてなかったんでしょう?可笑しぃぃ、やっぱり貴女はアリスには程遠いのよ。
まあ、こんなのに認められたくもないけどぉ…、貴女はこんなのにも認められなかったのよねぇ…
くすくす…恥ずかしいわぁ?」
「くっ…!」
「うふふ…気分がいいし、今夜はもういいわ…
じゃあねえ真紅。今度はnのフィールドで…きゃっ!?」
 
鏡の向こうに去ろうとする水銀燈の腕を、いつの間にか傍まで来ていたジュンが掴んでいた

「だっ駄目だ!奇蹟が!水銀燈が!!」
「なっ…!離しなさいっ!」
「い、行かないで!水銀燈!僕を置いてかないで!君を見てしまった!
君の美しさを知ってしまったんだ!もう君無しではいられない!」
振り払おうとする水銀燈に必死でしがみつきながら叫ぶジュンに、
水銀燈は恐怖の混じった嫌悪の表情を向ける
「このっ…!気持ち悪い!」
「駄目だ!行かないで!」
「きゃあっ!」
その瞬間ジュンはひきこもりとは思えない機敏な動きで、手近にあった布で水銀燈の両手を縛り上げた
 
「なんてことするのよぉ!死になさい!」
黒い羽根が、ジュンの肌を切り裂く。
「痛っ……はっ!?ぼ、僕は何を…」
黒い羽根の攻撃は止まない。
「イタっ!痛っ!痛い!…あ、でも皮膚が切れるぐらいでそれほど危なくはないな」
「なっ!?」
「紙で指を切るみたいなものか…」
「こ、このっ!」
「痛っ、あっ、アッ……これは新しい快感…」
「変態…!!?」
大きな鏡の置かれた物置に、黒い羽が舞う。
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