庭球

□ねえ、知ってた?
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ねえ、知ってた?
周助。

あたしは、あたしがきらいだったよ
でも 同時に
すきで すきで たまらなかった

あたしにとって あたしは
‘特別’で
他のやつらとは違う
高尚な生き物だって
信じていた

…ううん、
信じたかった

そうやって
人と比べて
優劣を競って
今まで生きてきたよ

満ち足りていて
でも 虚しくて
そんな毎日に
飽々していたよ

ねえ、知ってた?

人は自分の信じるのと同じように
自分のことを
自分じゃない他の誰かが
‘特別’って
信じて
包んでくれる
たとえ それがほんとじゃなくても
脆い自尊心は救われるんだね

ねえ、知ってた?

あたしは周助に救われたよ
‘特別’なあたしの
‘特別’なあなたが
‘特別’なあたしを
‘特別’って思って
‘特別’にしてくれたよ

それって とっても
素敵なことなんだね

ねえ、知ってる?
あたしは周助が

だいすきなんだ!



fin.

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