オリジナルU

□エンドレス・ハッピータイム
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 ――夜、誰もが寝静まったような時間。



 ヴーヴーと枕元の携帯が鳴った。

 電気を消した部屋で目を閉じていた私はそのまま携帯に手を伸ばし、手探りのままぱちんと携帯を開く。使い慣れた携帯だ、親指が勝手に通話ボタンを押す。



「――はい」

『起きてた?』



 向こうから聞こえる声が、私の鼓膜を刺激した。

 私は目を閉じたままで通話をする。


「うん」

『またゲーム?』

「まあね」

『最近ずっとじゃん。ちゃんと寝なよ』


 携帯の向こう、呆れたような彼女の声。

 同じく呆れかえった表情が、閉じた瞼の裏に簡単に想像できて、私は少しだけ笑いながら返事をする。



「分かってますー」

『本当に?ご飯は食べた?』

「食べたよ」

『何食べたの?』

「んー、忘れた」

『おい』



 お互いに冗談を交えた会話。

 笑って、話して、また笑って。

 それがいつも通りだったし、眠りかけや寝起き以外の私はあまり喋らない。だから彼女がよく話す。私はそれを、時々相槌を打ちながら聴く。


 会話は取り留めのない話だ。友人同士によくある会話。少し笑えて、その後は忘れてしまうような。

 私は今日も目を閉じて相槌を打つ。



『でさ、その結果っていうのが――』



 彼女は知らないだろう。

 私が目を閉じて通話していること。
 本当はゲームなんてしていないこと。
 昼以外はろくに食べられていないこと。
 夜は眠れずにいること。



 君を、好きなこと。


 
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