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□秘密組織"Monster"
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「じゃあどうする?」

「いつも通り」

「夜暮らし?」

「そ。」


 小さな狐面の体を抱きしめながら、ジャガーはのんびり頷いた。敏感な鼻先はフォックスが眠たそうにしているのもすぐに解る。

 ゆっくり包み込むように頭を撫でれば、フォックスはまるで子供のようにすり寄ってくる。我らが頼れる秘書さんは、任務中はまるで鋭く尖ったナイフみたいだけれど、一同が顔を揃えているとすぐに安心したように緊張を戻す。戦闘には向かない彼女だから、実戦には出ずにみんなの帰りを待つ。そんな彼女が誰よりも一人の時間を嫌っているのを、チームのみんなは知っている。


 ジャガーはそんなことを思いながら、部屋の向こうに声を投げた。


「レオ!」

「はい。準備できてます」

「こっちもばっちり」


 いつの間に喧嘩を終わらせたのか、レオとドラゴンが立ち上がって身構えていた。ドラゴンは使い慣れた一丁の拳銃、レオは拳に金属が入ったグローブをはめている。あ、でもレオがドラゴンの足先踏んでる。喧嘩は終わっていないみたいだった。

 察して体をこわばらせるフォックスを抱き寄せながら囁いた。


「これから休暇ってのはどう?」

「…リアル逃走中、ね」

「追手がこんなに多いなんて聞いてないなあ。片付けて且つ完璧に逃げられたら報酬ゲット」


 もしかしたらふんだくれるかも、とジャガーはにんまりする。


「悪い話じゃないよねえ」

「悪い顔」


 フォックスは相手の口の両端から覗いた鋭利な牙をつつく。それから今か今かと待ち構えている部下二人を振り向いた。


「迅速に、的確に。」

「音を立てずに」

「出来るだけ目立たずに」


 起き上がったジャガーは、足元に転がっている日本刀を足で器用にからんと蹴り上げ、ぱしんと掴んで薄く笑った。瞳が冷たく細くなる。


「――可能な限り、化け物ぶって!」


 呆れた顔のフォックス。

 やる気満々のレオ。

 愉しくてたまらなさそうなドラゴン。


「楽しんで長引かせないでよ、ジャガー」

「了解、フォックス」


 答えたジャガーはそれら面々を見渡して、そうして背後の扉を振り返る。獲物を狙う目つきは爛々と輝いていて、それはまるで。


「いくぜ、"Monster<化け物>"共!」



 地下の扉が開かれるまで、あと――。





   『秘密組織"Monster"』end...?
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