オリジナルU

□ハロー、神様。
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 僕は神様で、彼らは人間で。

 人間に出来ないことが僕らには出来て、僕らに出来ないことが彼らには出来る。でも彼らはそれを知らない。



「ばいばーい!」


 嬉しそうに風船を持った方の手を上げながら、子供ははしゃいで僕に挨拶をした。今度は飛ばさないよう、輪っかにした紐を手首に引っ掛けて。その子の手を引きながら、お母さんも笑顔で一礼する。

 2人は仲良く手を繋ぎながら、走ってきた道を戻っていった。


 僕は黙って立ったまま、軽く片手を上げて、ぽつりと「さよなら」を呟いた。



 あの子はこの後、事故に遭って死ぬだろう。

 僕には解る。解ってしまう。

 だってそれが神様の宿命で、役割で、束縛なのだから。


「…さて。次はあっちかな」



 独りごちて、一歩を踏み出す。

 そのまま下へと下ろした足は、白く清潔な部屋の床を踏んでいた。周りはあっという間に真っ白で無機質な風景に変わる。
 白い壁で囲まれた中には白いベッドと白いシーツ、そして白い顔をしてそこに横たわっている人。



「やあ、こんにちは」

「…あら、こんにちは。新しいお医者さんですか?」

「ううん、違うよ。そう見える?」


 横たわったままのその人は、青白い顔を緩ませて力無く笑った。

「白衣を着ていたから」


 僕は自分の格好を見下ろして、ふーむと首を傾ける。


「本当だ」

「ふふ、変な人」

「お医者さんだったら良かった?」


 そう問いかけると、彼女は横たわったまま視線を僕に向け、少し瞬きをした後にまた笑った。


「そうね」

「どうして?」

「もしかしたら助かるかもしれないから」

「なるほど。君はもう治らないのかい?」

「余命は3ヶ月らしいわ。そう言われたけど、実のところあまり信じていないの」

「ふうん。そりゃまた何でだい?」


 
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