オリジナルU
□エンドレス・ハッピータイム
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『って訳でさ、明日行こうよ』
「そだね。行っといで」
『えー!行こうよー!』
君の声に鼓膜が震える度、私の胸が痛むのはどうしてなんだろう。
この感情は、いくら目を閉じても眠らずに考えても、消えない。
「レポートあるからね」
『まだ終わってないの?』
「明日から頑張る」
『それ前にも聞いた』
彼女は少しだけ笑って、私は笑いながら強く目を閉じた。
開けたって閉じたって、真っ暗な夜じゃ見えるのは真っ暗な目の前だけなのに、どうしてか君の姿が見えるんだ。見えてしまうんだ。
「……なんでなんだろ、ね」
『え?なんて?』
「んーん。どうしてすぐに取りかかれないのかなってさ」
『今更気づいたの?』
笑う彼女。私も笑う。わらう。
『あ――』
「ん?」
『もうこんな時間だー。早いなあ』
「そう?」
『うん。眠い?』
「別に。そのうち寝るんじゃないかな」
『眠くなったら?』
「眠くなったら」
電話の向こう、くすくす笑う声。
私はきっと、泣いていた。
『ちゃんと寝るんだよ?』
「そのうちね」
『じゃ、また明日2限で』
「うん」
『教室は、』
「一号館、大講義室。解ってるよ、おやすみ」
『あはは。うん、おやすみ』
ぷつり。
少しの余韻を残して通話は終わる。それ以上の音を立てない携帯を握りしめたまま、私は闇の中でぼんやりと目を開けていた。