バッテリー

□つぶやき
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放課後。
「巧。キャッチボールせんか?」
「え!?」
「なんじゃ嫌か?」
「あっいや…。豪から誘ってくるなんて珍しいから」
「そうか?とにかく。早く行こう」
「あぁ」
そして、二人はいつもの神社へ行った。

「よしっ。こい巧」
そう言って豪は構えた。
巧は一度頷いて軽く深呼吸し、真剣な目をした。
豪は、こうやって真剣な顔の巧を見るのが好きだった。
そして、巧の事も好きだった。
でも、その事を言えずにいた。
もし拒絶されたら………そう思うと告白できずにいた。
ひゅっぼすっ。
生きているみたいなボールがミットの中に入ってきた。
「今日も凄いなぁ…」
「当たり前だろ」
豪は、いつも真っ直ぐな巧のボールが好きだった。
フォームも綺麗でボールも凄い。
本当に巧は完璧だ。
でも、完璧な人間なんていないように、巧もまた完璧ではなかった。
野球のこととなると他の事には一切目もくれないという感じで、まぁ一言で言えば“野球バカ”だ。
でもそんな所も豪には“可愛く”思える。
そんなことを考えていたものだから、つい豪は言ってしまった。
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