壊滅的組織

□ターゲットG
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それは突如として始まった悲劇。


カサカサ……


「ん?ミカヅキモか?」


喉が渇いたリーダーは、水を飲みに台所に来ていた。流し台の近くまで来たとき、何かが床を這うような音を耳にする。


「いや、ジョウログモか?」



カサカサ、カサ……



この音は……ミカヅキモでもジョウログモでもない。あの黒光りする体を持ち、触覚を携えたアイツ……






カサカサカサカサ……




「ああもうカサカサカサカサうっさいな!なになに?傘が欲しいのか?









……ってぎゃーっ!!」








そうして、ヤツはリーダーに襲いかかった。

















******









デイ「なぁ、今リーダーの声しなかったか?うん?」

イタチ「気のせいじゃね?つかリーダーって誰?あぁ、オレ?」

デイ「死ねアホ。」



リーダーの悲鳴がアジトに響いた頃、他のメンバーは各々の時間を過ごしていた。指示を出すリーダーがいなければ基本彼らは任務なんかに行かない。

そしていち早くリーダーの悲鳴を聞き付けたのはデイダラだった。
デイダラは近くにいたイタチにそう訊ねたが、イタチのアホな答えにもうどうでもよくなる。




キサメ「あ、最近火の国内でゴキブリが大量発生してるらしいですよ。何でも、忍の子供がイタズラでゴキブリにチャクラを流し込んだら、凶暴化したとかなんとか…」

イタチ「じゃあ今オレの目の前で口を利いてるこのサメも霧隠れの忍がチャクラを流し込んだ結果か?それとも突然変異?」

デイダラ「実験の成果かもしれないな、うん。失敗っぽいけど。」

キサメ「なァァァんなんですかアンタらァァァァァ!」

イタチ「うわっ喋った!コワイ!!」




せっかくゴキブリの情報を教えてやったのに、この仕打ち。鬼鮫はとことん報われないヤツである。

しかし、リーダーを襲ったのは間違いなくゴキブリだった。そのゴキブリが果たして大量発生中のそれかは定かではないが、とにかくアジト内にゴキブリがいるのは確かである。

リーダーの時と同じく、カサカサという床を這うような音が響いた時、メンバー達はようやくヤツの存在に気付く。








飛「なぁなぁ角都ぅー、なんかカサカサって聞こえね?」

角「うるせー。今勘定中で忙しいんだ、話しかけ……?!!」

サソリ「あ?どうしたゾンビ。」




カサカサ……その音が次第に近付き、まるでホラー映画のような雰囲気を醸し出す。
飛段を邪険にしつつも、台所に繋がる、半開きのままの扉を見つめ、角都は札束を数える手を止めた。その流れでサソリのゾンビ発言は空気と化す。




トビ「な、なんスか?この不気味な音…」



カサカサという音と共に、今度は人が床をホフク前進で進むような音が聞こえてくる。しかもその音はカサカサと同じくらい早く、ちょっと気持ち悪かった。





イタチ「この鬼鮫の歯ぎしり並みに気持ち悪い音は……」

キサメ「ちょっと酷くないですか?」



イタチの言葉に女子高生口調で答える鬼鮫。だがイタチはそれを華麗にスルーし、すたすたと半開きの扉に近付いた。







イタチ「もしかして、リーダーか?アンタから貰った団子食べようとしたら中にゴキブリの触覚が混入してたんだぞ……オレの団子に対するトキメキをどうしてくれるん……










ぎゃーーっ!!」

キサメ「イ、イタチさんっ?」







半開きの扉のドアノブに手をかけ、イタチは勢いよく開け放つ。ぶちぶちとよく分からぬ文句を言いながら目を向けた先にいた何かを目にした途端、イタチは悲鳴をあげて尻餅をついた。鬼鮫がびっくりして駆け寄ろうとすると、サソリが足を引っ掛けて鬼鮫を転ばず。鬼鮫は「ぷぎゃっ」と小さく鳴いて顔面から床にダイブした。








キサメ「な、なにすんですかッ!!」

サソリ「悪ぃ悪ぃ、足が長くてついな…あ、ちょっとそんな泣きそうな顔でこっち見ないでもらえる?吐き気がするから。うぉえ」

デイ「もう吐いてますよ」







床に打ったために赤くなった鼻を押さえて目尻に涙を溜めた鬼鮫に、サソリは耐えかねて傀儡の潤滑油を口から吐いた。芸術品が油まみれである。床に膝を抱えて丸くなった鬼鮫に代わり、今度はデイダラがイタチに歩み寄った。イタチはプルプルとしながら前を見据えている。

ちなみにその瞳は万華鏡写輪眼だったので、デイダラは必死にイタチの視線を避けた。














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