壊滅的組織

□可愛さ余って憎さ何倍
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ソレがちょこんと乗せられた頭が、リーダーの頭じゃなかったら。ただ純粋に可愛いと言えただろうに。
それなのに…。










「なんでリーダーがネコミミカチューシャなんか着けてんだよォォォ!!」
「フハハ、可愛いだろう?」

この日デイダラは年に何回あるか分からない絶叫日を迎えていた。ちなみに彼の最高絶叫レベルは「血統に恵まれただけの勘違いヤローが!」である。それに引かずとも劣らぬ絶叫をアジト中に響かせながら、デイダラはまるでこの世の終わりを迎えたかのように頭を抱え込む。
対するリーダーは頭にネコミミカチューシャを着けたままなぜか誇らしげに胸を張っていた。まったくもって勘違いヤローに違いない。


「いやな、この前アニメ観てたらサスケとかイタチがネコミミ着けててさ。便乗してみた。」
「うるせえ今すぐその殺人兵器を外さねーと爆破すんぞ。」

これはさすがにデイダラの言うとおりだった。確かにアニメの過去編でそんな話もあったが、なぜリーダーが便乗するのかまったく意味が分からない。
デイダラは起爆粘土片手に、死にかけのゴキブリを見るような目をリーダーに向けている。
そんな二人の間に現れたのは、何の因果かイタチと鬼鮫だった。どうやら任務の帰りらしい。

「うわっ、なんですかリーダー、変な趣味に目覚めたのですか?」
「オレは多趣味なんだ。」
「ネコミミ着けることがか?」

アジトに帰っていきなりリーダーのネコミミを見てしまった鬼鮫は青い顔をさらに青ざめ、イタチは侮蔑感丸出しの目でリーダーを見た。世界中の犯罪者を束ねる組織のリーダーがネコミミが趣味だなんてそもそも悪趣味すぎる。
しかしそんなリーダーの姿に過去の記憶が甦ったのか、イタチはリーダーとの間に鬼鮫を挟んで壁を作りながら口を開く。

「だいたいなんだそのネコミミは!それが似合うのはオレとサスケだけと相場は決まってるんだ。」
「初耳すぎるぜ、うん。」
「何を言う!お前達うちはに似合って輪廻眼を持つオレが似合わんわけないだろう!」
「どういう理屈ですか…。」

背後にイタチ、前方にリーダー、そして横にデイダラというポジショニング。鬼鮫は彼らが口を開くごとにキョロキョロと視線を変える。
しかし鬼鮫は気付いていなかった。
…リーダーが懐から新たなネコミミを取り出していることを……!
鬼鮫が背後にいるイタチを振り返った刹那、リーダーは鬼鮫の頭上に手を伸ばし、そして…。


「−−忍法・ネコミミ装着の術!」
「ぎゃあああ?!なっなんです?!」
「ぎゃあああああ!?」

リーダーはまるで必殺技を繰り出したかのように声高に叫ぶと、そのわりには地味な動きで鬼鮫の頭にネコミミを装着させた。真横でその光景を目の当たりにしたデイダラは白目を剥かん勢いで絶叫し、フラフラとした足取りで床にしゃがみ込む。よほど鬼鮫ofネコミミが衝撃的だったらしいが…。


「…あれ、おかしいな。写輪眼は幻術を見破るはずなのに…。鬼鮫がネコミミ着けてる幻術が解かれない…。」

幻術を解く印を結びながら「解!解!」と連呼するイタチがそこにいた。その眼は写輪眼を通り越してすでに万華鏡写輪眼状態で、鬼鮫は目を合わせないようにするので精一杯だった。
しかし残念ながら目の前の光景はれっきとした現実なのである。いくら写輪眼を有するイタチでも、現実を変えることはできず…。



「……すまないサスケ…お前の好きなおかかおにぎりの具を団子にすり替えたのはオレなんだ……ぐはっ!!」
「イタチさーん?!なんですかその瀬戸際の言葉は!?」
「そうかそうか、失神するくらい魅力的なネコミミか。これなら小南に受け入れてもらえるな!」
「リーダーは黙っててください!!」

目の前のそれが解かれることのない現実だと悟ったのか、イタチはよく分からない告白を残してその場に卒倒した。鬼鮫は慌ててイタチに駆け寄ろうとしたものの、リーダーの言葉についツッコミを入れてしまい勢いでイタチを蹴り飛ばしそうになる。
そしてリーダーは鬼鮫からネコミミを奪い取ると、誇らしげな表情のままに部屋の外へ出て行った。

「なんだったんですかアレ…。」
「小南のところに殺されにでも行ったんだろ。」
「サソリさん…どうしてアナタまでネコミミ…。」

打ちひしがれ立ち尽くす鬼鮫を後目に、どこからともなくサソリが現れる。そんなサソリの頭にもネコミミがあって、しかもなぜか本体でなくヒルコの方で、鬼鮫はもうぶっちゃけ何の言葉も浮かばなかった。

…数分後、紙手裏剣でネコミミごと切り刻まれたリーダーが廊下で倒れていたことを知る者はいない。








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