REBORN.

□瞼へのキスは
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骸様以上に惹かれる存在が、この世にあるだなんて微塵も思ってなかったんだ。







…*…*…



「えっと…今日、他の人は…?」

「………さぁ?」



キョロキョロ
ソワソワ
落ち着かなそうに目の前に座っている、こんなに細くて小さい奴がボンゴレ次期10代目。
勝手に来ておいて、、俺だけなのが不満なら帰れば良いのに。
骸様に会いたいのか、こっちをチラチラ伺って。
俺だって、あの女が何処に居るのか知らないし、知ってたとしてもめんどいから教えない。

居場所無くうろつく視線。
小さく竦められた身体。


………ムカつく。
それはあからさまな怯え。
怯えるのは、俺に心を許していないから。
別に心を許して欲しい訳じゃない。
けれど、骸様に対するものとは本当に違う態度が、妙に気に入らない。
骸様にだって、いつも怯えて戸惑って、顔色まで悪くすることもあるくせに。



笑うんだ。



隣に居る時はいつも、くすぐったさを噛み殺すように小さく。
初めてそれを見たとき、胸の辺りがチリついた。
同時に、それが欲しくて堪らなくなって。



「あの…柿本さん…?」

「…『さん』付け、やめてくれる?
…呼び捨てで良いから。」



…戸惑った顔。
それきり、俯いて黙り込んで。

俺の名前は呼ばない。
骸様のことは、あんなに気軽に呼ぶのに、何で俺の名前は呼ばないんだ。
イライラが募るのは、ボンゴレに対してか、自分に対してか。
それすら分からなくて、苛立ち紛れにコーヒーをティースプーンでかき混ぜた。
ブラックだから、何も変わらないのに、ひたすらにカチャカチャと。









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