短編小説

□利己的純愛中毒者
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「どうか、しましたか?」
先刻から増え続ける吸殻。普段より深い眉間の皺。動くもの全てを射殺する様な殺気。
その全てが、現在の彼の不機嫌さを表わしている。
「どうも、しねぇ。」
「そうですか。」
絡み合おうとしない会話。
拒絶されたんですか…ね。

 聞かなくても、解かってるんですけどねぇ。

ちょうど二時間前、三蔵一行はある寺院にいた。
他の寺院と同じく、三蔵を喜び勇んで迎え入れ、上へ下への大歓迎。
お約束の様に、賭博禁止、肉類禁止、酒類禁止に不満爆発の二匹。
「見つけたゼェ三蔵一行!」
……二匹の苛々も大爆発。
八つ当たり気味の攻撃により数分で撃破。
返り血を浴びた三蔵に金髪の子供が叫んだ…


 バケモノ


表情を変えず寺院を後にし、宿屋についた二時間後。
現在。

 でも、あんな言葉を気にするなんて珍しいですね。

「じゃ、園児たちの様子をみてきますね。」
離れようとした瞬間、腰を長い腕に絡めとられる。
そのまま頭を広い胸に押し付ける様に抱かれた。
「三…蔵?」
「……」
痛いくらいに強く抱きしめられて身動きがとれない。
「…自分を汚れのない者だと信じている奴が、汚いものを見る眼だ。」

 「…」
 「否定は…しねぇ。」
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