短編小説

□眺めているだけ
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「石田…」
紡がれた言葉はただ虚しく消えてしまう…。

カーテンをあければ、満月に近い明るい月が顔をのぞかせる。
ベッドに仰向けに寝転がり、想うわいつも彼のことばかりだった。


男同士だとかなんて関係なかった。
【好き】と思う気持ちが何より大きかったから。
でも、正直に伝えるなんてこと、俺なんかに出来るわけもなく…。

ただ、今は月を眺めているだけだった。


今の俺には月のように彼奴を眺めているだけしかできない。
はがゆくて仕方がない。

でも……。


汚したくない
募る想いを押さえろ


そう思える自分と


箱に閉じこめ
誰にも見せたくない


と思う自分がいた
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