狂想曲

□狂想曲・後編
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傍に気配を感じて、俺はうっすらと目を開けた。
「……ん…?」
いや、傍じゃない。
それどころか、気配は目前にあった。
予想外過ぎる状況に、総毛が逆立つ。

「!??!っ、し、しし、し…シズちゃんっ!?」

目の前にあったのは、一番現れる筈ではない人の顔。どうやら俺の容体を見る為に覗きこんでいたらしい。多分。その筈なのだが、加減が分からないのか何なのか、そんな状態になってしまったようだ。
「っせーな。どれだけどもれば気が済むんだよ手前はよぅ?」
ゆっくりと顔が遠のき、自室の天井が見え始める。ようやく離れたそれに、何処かほっとしながらも、残念がるもう一人の自分もいたりする。
無性に恥ずかしくなって、俺は顔を横に向けた。
「べっ、別にいいじゃんそんな事!それより問題はシズちゃんだよ」
「何だと?」
ぴくり、とシズちゃんの眉が動く気配がする。分かりやすい程の感情の動きに、俺は何処か懐かしいなんて心の片隅で思った。

「何で此処にいるのさ!?」

俺が最大の疑問をぶつけた瞬間。
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