狂想曲
□涙と優しさのわけなんて
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一体、何がどうなってこうなったのか。
この事態に巻き込まれた自分が分からないのに、それに解決策を見出すなんて不毛で。
だから。
「このクソノミ蟲、退けよ早く!?」
この状況を自分から覆すのは、尚更嫌だと思った。
「シズちゃん、」
自分と床の間に居る【喧嘩人形】の愛称を呼んだ。言わずもがな眉をぴくぴくさせている彼を見て、笑いが零れそうになって、止めた。
「(これって、俺がシズちゃんを押し倒したって構図なのかな?)」
実際は屋上で昼寝をしていたシズちゃんを面白可笑しく起こしてあげようと思ったのだけれど、運悪く彼の荷物に躓いて転んだ。
その時に更に運悪く彼の足を盛大に踏み付けたようで、痛いという怒声と共に起きられた。
自分はと言うと、そのまま彼の胸へとダイブ。起き上がろうとした先、至近距離で目覚めた彼と目が合って。硬直。
これが事の真実だ。
そこまでは自分も理解した。
しかし。
問題は、それからだった。