main 〜Roman〜

□Je voudrais….
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「…っ…」
壁際に背を預け、しゃがみ込んだ状態のイヴェールは、弱々しく息をついた。真っ白な肌には朱がかかり、赤と青を映す瞳は早くも潤んでいる。コートは肩まで脱がされ、その下のワイシャツも、もう半分ほどボタンが外され、素肌が見えている。
イヴェールはこの状況に、更に顔を赤らめた。
「さ…サヴァン……っ」
びく、と肩が震える。サヴァンが何の前触れも無しに、イヴェールの肩に顔を埋め、唇で触れたからだ。唇の位置が徐々に降下して、鎖骨を舌でなぞると、イヴェールはぎゅっと目を瞑った。
「…ん…」
何かに、耐えている。そんな表情。正直、そんな反応をされたのでは、逆に押さえが利かなくなりそうだが。
「駄目、だよぅ……サヴァン…!」
言いながら抵抗しようと思ったのかサヴァンの肩を持つが、両手に残った力は微弱で、引き離す事さえ出来ない。
「…何が駄目、なのかね?言ってみなさい、イヴェール」
「っ…!ぁ……」
鎖骨を甘く噛んでやっただけで、頭を振っていやいやと言うかのような仕草をする。それとは裏腹に、イヴェールの腕はサヴァンの背中に回り、きつく抱きしめているのだが。どうやら本人には自覚がないらしい。
「ほら…早く」
耳元で囁けば、イヴェールは息を詰まらせた。そっとシャツの中に手を入れると、僅かに口を開く。
「…ぁっ、ン……!」
すかさず口内に舌を入れると、甘い吐息と共に下肢が動いた。舌を動かして触れる度に、イヴェールは言葉にならない言葉を紡ぎ出そうとする。背中に回された腕が、縋り付く様にシャツを掴んだ。
「んッ…ん、ん……!サ、ヴァ…っ……っふ、ゃ…」
徐に唇を離し、じいっと顔を見詰める。イヴェールは暫く荒くなった呼吸を静める様に大きく息をしていたが、サヴァンの視線に気付くと、見詰め返してきた。
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