main 〜Roman〜

□La bibliotheque
1ページ/2ページ

図書館で探し物をしていると、不意に後ろに気配を感じ、サヴァンは振り返った。

「……イヴェールか」
「Bonjour,Savant.」

暫し思案もするが、サヴァンは前もって言っておく。
「見ての通り、今立て込んでいる。あまり相手はしてやれないが…」
「ううん。サヴァンの傍にいられたら、見ているだけでも僕は十分だよ」
――何時からこんな事を言うようになったのだ、この子は。
少し染まった頬を見られない様に、サヴァンは再び彼に背を向けた。


カタン、と音を立てて数多の中から一冊の本を手に取る。一枚一枚、ページを捲る音。
静かな、この空間が好きだ。
本を閉じ、棚の空間に収める。



「……サヴァン?」
「ん?――ッ」
別の本を取ったところで、後ろから抱き締められた。予想もつかなかった行動に、その姿勢のまま固まってしまう。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ