main 〜Moira〜

□ただ、無性に
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「レォンティゥス」
突然の聞き慣れた、しかし予想外の声に、レオンティウスは慌てて振り向いた。その先には見慣れた姿。
「たっ・・・タナトスっ!?」
「何時モ我ノ元へ来テ貰ッティルカラ、偶ニハ我ガ・・・ト思ッタノダガ」
しかし、視線を逸らして
「迷惑ダッタカ?」
その声が異様に沈んでいるのは、レオンティウスにも分かる。向き直り、彼の前に立つと、優しく語りかけた。
「迷惑じゃない。私は、タナトスが来てくれて嬉しいよ?」
突然で驚いただけだ、と付け加えると、タナトスの表情が幾分か和らぐ。安心したようだ。

「レォンティゥス・・・」
タナトスがそっと、その大きな腕で包み込む。レオンティウスが抱き込まれたままで見上げると、その瞳が潤んでいるのが見て取れる。心なしか、頬も薄紅色に染まりつつあった。
「ど・・・どうし・・・」
「・・・レォン・・・」
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